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2012/12/31

大晦日になった

1231 大晦日になった。雨から曇りになったが、空は相変わらずどんよりしている。だからといって、周りのみんながどんよりしているわけではない。大晦日になるほどに、仕事から解放されて、明るい顔をしている。そんな顔が向こうから、走ってくる。

1231_2 昨日から、今年見逃した映画をまとめて観て、ビデオを返し、そのまま川端へ出たのだ。居るわ、居るわ、失礼ながら、走っている人たちの写真を思わず撮ってしまった。公園へ入る散歩コースは、大晦日のにぎわいだ。目立つのは、走っている人びとの歳の平均値が高いことだ。

1231_3 走っている人の顔を見ると、一番わかりやすいのだが、その年の世相が見えてくる。日本家計の財産規模が歴史的最高値を記録していたのが、急速に滑り落ちた一年だった。それで財産問題が表に浮き上がってきたのだと思われるが、最も印象に残っている今年の事件は「角田美代子」事件だ。家族の枠組みの中で、組み入れられた人びとが次々に犠牲になった。家族というものの考え方が変わってきていることは知っていたが、それが現実となって現われたからだ。家族のような小集団も内に籠もれば、連合赤軍のような権威主義的な様相を呈するということかもしれない。映画「ニーチェの馬」で、なぜあんなに家の宝である、財産の「馬」に鞭打たねばならないのか、なぜ過酷な土地から出られないのか、ということだ。

1231_4 子どもたちもお父さんに誘われて、負ぶられながらも走っている。中高年も走っている。

1231_5 くたびれて、川を覗いている夫婦も居る。

もっと注意してみると、なかにはひとりで「ほか弁」下げて、一年の重荷を一身に背負っている責任感の強そうな人もいる。

1231_6 それでも、走り始めてしまえば、そんなことも忘れて、一生懸命に走ってしまうものらしい。

立ち止まって、かもめに餌を与えている博愛の人もいる。1231_7ハトやカラスも便乗して喰らいついている。

さて、いよいよ本日は、ここ数年来、恒例となった大晦日のひとり納会日である。幕張の研究室へ出勤する。年末になると、卒業研究、修士論文、講義・面接授業、試験の準備、さらに原稿締め切りなど、先生方は毎年忙しい。 とくに、通信制大学である放送大学の特殊事情で、「通信問題」という制度があって、受講生全員のレポートに添削をして送り返すのだ。1231_8この採点締め切りがなんと正月早々ということなのだ。多くの先生方は、12月中旬には済ませてしまっているのだが、生来の遅延癖のある身としては、最後までの時間が必要なのだ。シーシュポス的快楽に浸ると、なかなか抜け出せない。今日一日は、腱鞘炎になることも辞さず、赤鉛筆を走らせる。

1231_9 この通信問題と学期末の試験問題が楽しみなのも、ほんとうのところ事実である。経営学者にアルフレット・チャンドラーという方がいるのだが、学生は知ってか知らずか、答案にレンモンド・チャンドラーと書いて、わたしを慰めてくれる。推理小説を書く勢いなのだ。

1231_10 病院の検査室に勤めている方のレポートには、医師と技師の分業の様子が書かれている。洋服屋の分業が的確な事例として書かれている。社会人特有のふつうの大学では得られないレポートが集まってくるのだ。

1231_11 大晦日にふさわしい仕事が終わって、廊下に出ると、自動点滅装置が働いて、蛍光灯が点く。すっかり周りが暗くなっていることに気づいた。採点表をコピーしていたら、守衛さんがドアの向こうから顔を覗かせながら、「大晦日に仕事ですか。1231_12 たいへんですね」と声をかけてくださった。毎年の大晦日仕事を始めだして、知ったことだが、大晦日に仕事をしているのは、じつはわたし一人ではないのだ。正面玄関を出て、研究棟を振り返ると、二つほどの研究室に電灯が点っていた。

1231_14 表通りの自動車ディーラーのショーウインドウには、すでに「初売り」の札がかかって、ようやく大晦日の雰囲気となってきた。とたんに、ライトアップの場所に出たかと思ったら、この世の照明とは思われない住宅展示場のライトだった。放送大学の建物に挨拶をし、答案を搬送して、今年のひとり納会を無事終了する。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。