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2012/11/22

テーブルに原稿を、ドンと

20121122 東西線の神楽坂駅を降りて、新潮社のある坂道をずっと道なりに下っていく。谷間に大久保通りが通っていて、下りきってしまうと、四つ角にあるTチェーンの喫茶店が目立つ。 ところが、ちょっと横丁に視線を走らせたり、上へずらせたりすると、ほんとうに気づかないような、老舗の落ち着いた喫茶店があるのだ。20121122_3娘を呼び出して、塩あじのランチを食べ、その中の一軒の喫茶店に入って、今日最初の一杯を飲む。

20121122_4 そのあと、Kという喫茶店で、編集者の方と待ち合わせる。本があたり一面に積み重ねられていたり、テーブルが本立てになったりしていて、本好きには定評ある喫茶店だ。20121122_5 さっきのチェーン店が近くにあるにもかかわらず、ずっと続いている。一度、来てみたかった喫茶店だ。新潮社などの文芸編集者が原稿の受け渡しに使ったのだろうか、と想像してしまう。

大学院生時代に、論文を書く練習のために、「エッセイを書きなさい」とアドバイスしてくださったM先生がいた。じつは、もう一つのアドバイスももらっていた。それは、出版の編集者と会うときには、原稿をまとめて、できれば完全原稿で、「ドンと目の前に揃える」ことが重要だ、と教わった。

20121122_6 きょうは、残念ながら音はドサっという感じだったが、とにかく相当な枚数の原稿をテーブルに置くことができた。編集者のNさんは行き届いた方なのだが、このような場において、きわめて適切な言葉を使っていて、印象に残った。ドンと「ものが有ると、違います」とおっしゃった。

20121122_7 そうなのだ。書いたものなので、情報であり知識であり、形のない、目に見えない想像のものと思っていた。ところが、この原稿を前に、この言葉で急に「存在」が与えられたのだ。これまで頭の中で、あれやこれやと想われていたものに、一瞬「存在」が付け加わったかのような気分になったのだ。

早稲田通りへ戻り交番まで到達し、そのまままっすぐ行けば、W大へ出る。どうしても、他の図書館にはない本があって、借り出した。原稿として送り出して、空っぽになった頭の中に、また新鮮な言葉が入ってきた。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。