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2012/08/19

石窯ピザには、特有の職業世界が反映されていた

819_4午前中にW大の学生レポートへのコメントを作成して、メールで配信した。レポートの課題は、おおよそ「職業世界の現状と、自分の職業選択の状況とを比較しながら、職業の意味を論じなさい」というものであり、多くの学生はその課題に対して、評価軸を設けて論じていた。それで、学生達は、このレポートの評価基準をほとんどクリアしており、自分の状況についてもそれぞれの持つ意見を進めていたので、通常のレポートのように、教育的に文章指導を行うようなコメントを行うのではなく、学生それぞれの今置かれている状況について、むしらわたしの方で認識を深めながら、就職への意見に対する共感を綴ったものになった。

819_5職業選択では、学生の直感が多くを占めているのではないかという印象を、わたしたちは持ちがちだが、じつは本人のなかで、それぞれ文章に綴るくらいの確固たる必然性を持っている人が多い。中には、数種類の希望する職業を書いてきて、それを批評の対象にする学生もいたのは事実だが、それ以上に、学生達の置かれている現在の事情は複雑なことがわかった。

819_6W大の学生は個性的だと思われている。だから、すこし世間の常識的な職業選択ではないものを選んでも、周りからは文句は言われないだろうと思われている。けれども、意外に親に相談し、就職する会社もかなりの選択の幅を持たせている人が多いことがわかった。ある学生は、自分のやりたい職業は別にあり、二番目にやりたい職業に就きたいと就職活動を行っているのだ。あるいは、仕方なく二番目を選択した、などという記述が目に付く。心のなかは、意外なほど複雑なのだ。このような次善の策を選ぶ学生は、多くあり、このことが将来の自分であることへ、どのような影響を与えていくのだろうか。

818_5ストレートに会社名を挙げて、具体的なことを事例としてあげる学生も、少なからずいて、思いっきりの良い感想が聞けて、これはこれで、10年後の姿を是非観てみたい、と思わせるものだった。けれども、こちらがきっと生きてはいないだろうな、と思う。

819_7お待ちかねのピザなのだが、昨日予約がいっぱいで諦め、今日の11時半に取りに行くと注文しておいた。パン屋さんへ着くと、別棟の窯のある小屋から、店員の人が飛んできて、応対してくださった。819_12「夏野菜ピザ」「マルゲリータ」の二枚を手に持って、早足で家に戻り、さっそくいただくことにする。昼にもかかわらず、このピザには、ワインが似合うということになり、午前中にある程度仕事を終わらせておいて良かった、と思った次第である。一升瓶ワインを取り出して、さあ、という状態になった。
       
819_9ピザには、ひとつの世界があると思う。だいたいは大きな丸い形をしていて、全体の周辺を画定していて、ローカルな全体性を保持している。819_10生地とチーズという、ピザというものの基礎条件は、共通点をかならず維持していて、その上に、個性を謳歌するトッピング類が乗って、ピザの性格を確定することになる。819_11基礎と多様との調和が、ひとつの盤の上で調和している。ひとつの社会構成に似ているといっても差し支えないだろう。生地のイメージが石造りの西洋建築に似ているので、社会とはいえ、その社会は西洋社会なのかもしれないが。

819_8注目したいのは、マルゲリータであって、ピザというものの原型を保持していると思われる。生地とチーズとトマト、という三大構成要素を持っていて、その上にハーブの葉が乗っている。このマルゲリータが旨ければ、他のピザも旨いという法則性がある。そのピザという宇宙の基本構成なのである。

815_2ピザが好きで好きでたまらなかった時代があった。40歳代前半で、ちょうど仕事も毎日入っていて、忙しい時期だった。片手で食べることができ、仕事をしながら、食べることが出来ることが魅力だった。ちょうど、米国出張が重なって、NYでセントラル駅などのビュフェへいくと、切り身が安く売られていて、その場で立って食べることができた。大判のもので、窯から出したばかりのピザが売られていた。

825_2今回のピザは、石窯である。たぶん、熱の伝わり方、つまり焼き具合が微妙にちがうのだろう。こちらの領分は、旨さということに尽きるが、独特の食感があって、最後に鼻へ向かって突き抜けていく、おいしさの風の違いは、他のものとやはり異なると思われる。なぜピザは、切り分けられてから、食べるのか、という素朴な疑問も、これで解決できるだろう。石窯で焼く大きさがあって、それぞれの統一性に影響を与えているのだ、と解釈しておきたい。全体が存在していて、分配されて、一人分が画定されていく。まさに、国家の中の職業世界の仕組みそのものと言って良いだろう。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。