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2012/05/15

蕭白ショック!とは、ほんとうによく言ったものである

Photo_39千葉市美術館で開催されている「蕭白ショック!」展に行ってきた。「蕭白ショック!」とは、よく言ったものである。ほんとうに、ショックなのだ。展覧会の入り口近くには、蕭白以前の、影響を与えたと言われる画家たちの展示があるのだが、蕭白の絵に移った途端に、がらっと何かが変わるのだ。

曽我蕭白は、1730年生まれで、京都の商家出身であるという来歴を持つ。やはり京都の商家出身の若冲と同時代の画家だ。たとえば、「鷹図押絵貼屏風」などの細密画は、若冲と同様に、惚れ惚れとする。妙齢の和服姿の女性が、麝香の香りを立てながら、この絵のウインドウ前に立膝して、ジッとその細密な構図を覗き込んでいる。それ程に、見れば見るほど、うっとりする。

細密画も良いのだが、やはり一筆で、ぐっと全体を決定するような、太いダイナミックな線で描かれて行く人物像は、圧巻である。「達磨図」は即興で描かれた趣がとても良いし、禅文化の影響のある「寒山拾得図」は凄い。小さなプリントや、絵葉書になってしまうと、なぜか俗っぽく、外連味たっぷりの絵に見えてしまうのだが。やはり、この大きさが必要で、この壁いっぱいに展開する大きさというものがないと、風に吹かれて、陽に晒された人物の、枯れているような、全体と微細の取りなす様子がわからないのだと思われる。

さて、注目したのは、蕭白がこの江戸期において、京都ではなく、三重地方で制作を行っていることである。二度ほどの長期滞在をして、集中的に制作を行っていて、今日までもそれが当地に残されている。たぶん、スポンサーがついたことが一番の理由だったとわたしは想像してしまうのだが、三重地方である点は注目しておく必要がある。なにしろ、松坂を中心とした三重の経済と文化が江戸期の最高潮を迎えた時期に、当地を訪れている。お伊勢参りで栄え、江戸や京都に影響力を持つ三井家があり、その下で、蕭白と同じ年に生まれた本居宣長がいた時代に当たっている。

Photo_40枯れたものにも、見るべきものがあると思う。「松鷹図襖」(それに、記憶が定かでないが、梅の細い枝の描かれた屏風絵も良かった)「松に孔雀図襖」など、次から次へ、ギョとしては落ち着き、落ち着いては、またギョとするの連続だった。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。