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2012/05/30

テレビに映った顔が左右非対称だった

「顎が急に膨らむ」という、不思議な体験をした。昨日、帰る頃になって、耳の下が痛くなってきた。何故かと思っていて、家で夕飯を食べる頃には、鏡で見て、明らかに左右非対称になってきたのがわかる程度になってきたことがわかった。それでも、いつも頬骨が出ていて、痩せて貧相な顔つきだったのが、顎が豊かになり、太って豊かな様相を見せるようになったくらいにしか思っていなかった。

そうかといって、これで喜んでもいられない。食事の後は、耳の下がさらに膨れるばかりだ。疑わしい病気を調べて見た。まずは「おたふく風邪」だが、子供の病気で、免疫を持っているはずだから、まず消して良い。最近は、反復性のものも大人であるそうだが、反復していないので、それも違う。

と考えていると、パンパンになってきて、破裂したらどうするのか、という、牛にであったカエルのような気分になってきてしまった。楊枝でも当てたら、風船のようにしぼんでしまいそうだ。

近くの夜間医療病院へバスに乗って出かけることにした。とにかく、腫れ止めの薬をもらいたかった。ところが、診察室の前でしばらく待って、医者に呼ばれてはいると、顎は外れた経験はありますか、と聞かれた。どうも、外科の先生に当たってしまったらしい。結局レントゲンを撮ることになってしまい、この夜中に、レントゲン室で、顔をガラス窓へ密着させられて、二枚の写真を撮ることになった。それで、すぐに顎が外れた疑いは晴れることになった。

けれども、結局のところ、抗生物質と鎮静剤という正当的な療法に頼ることになった。夜間診療というだけあって、突然の対応に柔軟に対応するようになっている。最終的には、標準的なことを行って、あとは専門医に任せるという体制を敷いていることがわかった。学問の世界にでも、最初にあまりに専門的なことだけに首を突っ込んでしまうと問題を見誤ることがある。また、途中途中で総合的な判断をしていかないと、本質を外してしまう危険もあるのだ。

昨日はこれで済んだのだが、問題は今日である。実は、テレビの広報番組で、昨年度の卒業研究について、コメントを求められていたのだった。数分しゃべることを頼まれていた。この病気が、流行性であれば、他のスタッフに移してしまうので、断るところであったが、移る心配がないらしいということで、テレビスタジオへ予定通り出かけた。

テレビカメラに映った自分の姿をみると、だいぶ腫れは引いたとはいえ、まだ左右非対称は残っている。でも、初対面のカメラマンや、二三度あっただけの方々には、このような顔の歪みは、まったくわからないらしい。本当に、顔というものは不思議なものである、と認識した次第である。

テレビは、時間通りにまた、内容もいつになく充実して無事終えることができた。もっとも、今回の発言内容が、卒業研究の良さに依存していたのであって、決してしゃべりがうまかったわけではないのが残念なところであるが。

顔というものが不思議であるのは、カンファレンス室へ戻った時にわかった。いつも会っている先生方や、Aさんには、顔の歪みが認識されるらしかった。けれども、もっと不思議に思ったのは、歪みを認識するしないにかかわらず、どちらの方々も、この顔の持ち主がこの「わたし」であることを認識した点である。

顔は日々少しずつ異なっている。この違いを克服して、わたしたちは他者を認識できるのだが、なぜ違って見えるものを、同じ人格の者として認識するのだろうか。このことは、顔が多少の違いを克服する構造を持っていて、この類似のいくつかのヴァリエーションを同じものと認識する、いわゆる「家族的類似」の構造を顔は持っていることを想像させるのである。

先日、大学の身分証明書の期限がきれていることに気付いて、よくみると、わたしの20数年前の顔写真がそこにあった。太ってないし、髪の毛もあるし、細身だし、眼鏡も昔風だ。この写真は、さすがに現在のわたしと同一視してくれる人は少ないのでないかと思った。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。