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2012/04/20

渋谷での講義デビューだ

Photo_18今日から、渋谷で講義が始まる。渋谷デビューという気分だ。今日一緒に出ていただいた先生が言っていた言葉が印象的だった。まさか、渋谷という場所で、「教える」ということをするとは思わなかった、と。繁華街で、遊びの街というイメージのところで、どれだけこの試みが成功するのかは、わたしにとっても、興味津々である。

Photo_19今回の教室は、駅前のバスターミナルの真ん前に建つ、Tokyu Plazaを会場としている。夜の学校という特色があって、19時半からはじまって21時までの時間だ。その昔、今から45年前の高校時代、このビルの5階に当時もあり、今もある「紀伊國屋書店」に、必ず放課後寄って、時には後ろの方にあった喫茶店(今はない)、あるいは、このビルをちょっと出て、一本入ったところにあった喫茶店で、たむろすることもあったのだ。

もちろん、前にも書いたように、大学院生時代には、この246号線沿いの道筋を少し上がって、山手通りを左に折れたところに住んでいた。そこは、カトリック修道院の寮で、そこに入って、ストイックな生活(残念ながら信者ではなかったが)をしていたので、時々はこの坂を下って、俗世間の空気を吸いにきたのも、このビル近辺であった。お腹の空いたときには、246を隔てて、小さな工場を持つほどの豆腐屋さんがあって、そこは中華料理屋さんも経営していたので、栄養満点の定食を食べていた。その裏にあるジャズ喫茶Mにこもって、紀伊國屋で買った本を読むときもあった。

じつは、放送大学に来て、多くの授業は受け入れていただいて、仕合わせな講義人生をおくらせていただいたと思っているが、ひとつ残念に思っていることがあった。それは、この大学では、「文献購読」系の授業が学生に人気がないということである。それは、一般の大学でも、文献を読むのは手数がかかるし、予習も大変なので不人気なのだが、だいたいは必修科目に指定することで、何とか維持しているのだ。

今回は、文献購読という考え方を、いっさい取り払ってしまい、ちょっと違うコンセプト、つまり「読書会」を行ってしまおう、という意図で、講義を提案して見たのだ。おかげさまで、意図だけは受け入れていただいて、意欲的な学生の方々が集まってくださった。

最初に自己紹介をしてもらったが、皆さんそれぞれ特有の読書体験を持っていて、活発に発言してもらえそうで、これからの授業の進行が楽しみである。字を知る前に、枕元で本を読んでもらったという経験を語ってくださった方がいて、読書会の起源が黙読ではなく、音読から始まった歴史がヨーロッパにあることを思い出した。

また、渋谷に縁がある小説家のO氏が好きだ、という方もいらっしゃった。何かの因縁であろう。推理小説の刑事ものが好きだという人もいれば、その刑事関係を現実に扱っている法律事務所に勤めている人もいるということだ。小さな時から、読書感想文でつねに賞をとっていたという方もいれば、大きくなって、これじゃいかん、と本を読んでみたくなったという方もいる。

Photo_20今日の講義テーマは、「なぜ本を読むのか」ということで、題材を提供して、話し合ってもらった。ポイントは読むことによって、記憶として残すか否かという「フィルタリング」の是非あるいは可能性について、最終的な議論が落ち着いてきたように思われる。次回から、本格的な読書が始まる。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。