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2012/04/05

趣味が人間をつないでいく世界がある

Photo_9東京の蒲田が注目されている、といっても、管見するところなので、NHKの「梅ちゃん先生」と、森田芳光監督の遺作映画「僕達急行 A列車で行こう」の二つだけなのだが。前者については、長く続くので、またコメントする機会もあろう。また、早稲田のO先生が、継続して取り上げるらしいので、そちらに注目したい。

Photo_10原稿の目処が今日の分だけだけど、たまたまついたので、今日のところはそれを祝して、夕方には仕事を離れて、上大岡へ出る。途中南区図書館へ寄って、明日の講義で事例として使う新聞記事をコピー。近くに図書館があるのは、このような緊急の時に都合が良いといつも感謝している。弘明寺公園の桜も、そろそろ5分咲きだ。Photo_11今週末の花見が期待される。

蒲田には、色々なイメージがあって、京急を利用している者にとっては、何と言っても近くに羽田空港があるということが頭に浮かぶのだが、このことを逆手にとって、今回の映画は鉄道おたくの物語を作っている。Photo_12今、京急線に乗ると、この映画の吊り広告が出ている。この吊り広告のほうが力がこもっているので、こちらを写真に撮りたいとは思ったが、人目があって恥ずかしいので、電車を降りてから、駅に掲げられているポスターを撮った。

この広告には、映画でロケした「京急の電車止まり上の跨線橋」がどこの駅なのか、蒲田なのか、川崎なのか、神奈川新町なのかというところまでは、書いてない。また、京急線の数ある支線の中で、海に突き出た駅が果たしてどこの駅なのかも、まったく書いてない。自分でじっくり探すことを勧めているかのようである。ポスターには、ロケ地を回ろう、とあるだけだ。ちょっと乗って行ってみれば、すぐわかることだ。

Photo_13映画の出だしは、「おいらせ渓谷鉄道」で、山の中を爽快に走って行く。ところが、松山ケンイチ演ずる主人公「小町」の個人的性格が早くも明らかにされる。エリート社員でありながら、じつは趣味に生きる人であることがわかる。その趣味が問題で、いわゆる鉄道趣味という特有の特性を持った趣味なのだ。もちろん、いわゆる「鉄ちゃん」と言っても、様々な趣味の複合であることは確かで、それが次第に明らかにされて行くのだ。

Photo_14森田監督は、この映画に「これからの人間は趣味でつながって行く」という人間観をまともに持ち込んでいる。ここでいう「趣味」というのは、映画の中で鉄道模型を取り上げているので、ホビーとしての趣味と勘違いされてしまうかもしれないが、ほんとうのところ、趣味感覚のことを言っていて、感性そのもののことである。「感性が人びとをつなぐ」といったほうが、正確かもしれない。

東京蒲田で生活していた主人公「小町」が、九州博多へ出て、そこで人脈がないにもかかわらず、趣味を通じて良好な関係をつないで行く。ビジネスの世界を、趣味の世界が支えて行く様子が描かれている。

この映画には、シリーズ化する企画があったらしい。一回の映画では収まりきれないものが、直ちに見て取れる。今回は、東京蒲田と九州博多との間の行ったり来たりの企画であったが、丸の内の不動産屋さんである「小町」と蒲田の町工場の技術屋さんである「小玉」、という現代日本の産業を代表する人たちが現代日本全体で繰り広げているドラマは、日本の隠された姿を指し示しており、東北仙台や、関西大阪など、彼ら二人に巡って歩いてもらいたかったところは、たくさんあったと思われる。

最後に、特別に付け加えておかなければならないのは、この映画のなかで採用されている「対話の話法」である。「小町」と「小玉」の二人の間の対話呼吸には、一拍多く、間が取られていて、ぎこちなく聞こえるかもしれないほどの余裕を持たせている。それは、小津監督がそうであったように、独特の表現方法である。そのために、対話の時間が長くなり、間延びしていると言われるかもしれないが、この映画の対話の方法としては秀逸である。

趣味を語ると、どうしても前のめりになりがちである。それに対して、ほんとうの趣味の世界を表現するためには、現実の世界との照合を行う時間が必要であるということを示している。そのフィードバックに時間がかかる分だけ、対話の反応が遅れることが出てくる。この遅れを重要視することが、この手の描き方が導入されなければならない必然的な理由であった。

Photo_15趣味というほどではないが、メモ帳がすこし小さいと感じはじめたので、上大岡の文具店で、一回り大きなメモ帳を購入した。いままでのメモ帳が二つ入る容量で、これがあれば十分だ。今年度は、異なる仕事もひとつ入っているので、これらをまた別に書き分けなければと考えている。もっとも、メモ帳が変わったからといって、内容が一新されるというわけではない。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。