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2012/04/06

選挙には、危ない人びとが集まってきて、「正義心」のドラマを繰り広げるのだ

Photo_16映画「スーパー・チューズデー」を観る。G.クルーニー監督・出演の意欲作だ。クルーニーを知ったのは、テレビドラマの「ER」で、彼は小児科医を演じていた。幼児虐待に正義感をあらわにする役回りであった。その印象は、その後娯楽映画へ転向した後も健在であった。また、演出にも興味があったらしく、ドラマ「ER」にもそれが反映されていたと聞いていた。

今回の映画では、息苦しいほどの緻密さが特徴だと思われる。クルーニーの個性の中に、メルギブソンにも似た、完全主義的な一面があるように感じた。映像にそれが現れている。映画として、それが良いことか否かは分からないが、接頭語がつくほどの真面目さが、全面に出ている。それは、現実感を出すためには必要かもしれないが、物語としてはどうだろう。また、先日のワシントンでのスーダンデモに関わるクルーニーの逮捕劇も、一連の延長線上にあって、彼の真面目さの表現だったと解釈したい。

今売り出し中の俳優ゴズリング演じる主人公のスティーヴンは、知事から大統領選に出ようとしている、モリスの選挙参謀のナンバー2である。選挙というイベントには、政治信条もさりながら、それ以上に、人生をそれにかけてみようとする野心的な人びとが集まってくる。だから、彼らの織りなすミクロ権力の世界のほうが余程政治的リアリティがあると、という設定だ。

政治的駆け引きがそうであると同様に、人生そのものも駆け引きによって支配されている、という人生観はかなりスリリングでスキャンダルに満ちていると予想されるので、物語としては面白いが、実際の世界がそうであったら、かなり息苦しいと思われる。

正義心が主題である。モリス側参謀ナンバー1のポールはスティーヴンに「忠誠心」を要求する。敵対する参謀ダフィは「裏切り」を誘ってくる。スティーヴンの野心は、どちらに転ぶのか。その展開は不確実だ。ドラマとしては、現実主義的な展開で幕を閉じることになるのだが、最後に正義心が問われるわけではない。この点では、良い意味で娯楽作品となっていて、わたしたちの想像力を広げてくれる。悪漢小説の趣を持っているのだと思われる。

わたしは小学校時代に、田舎の家が破産して東京に出てきた。そのときに、父が何を思ったか、経験がまったく無い世界であるにもかかわらず、大学時代の恩師が全国区の参議院選挙に出馬するというので、選挙参謀の手伝いを半年くらいしていたことがある。いや、もしかしたら、祖父が田舎の町議会議長をやっていたから、その手伝いぐらいはやっていたかもしれないが。

それで、選挙用の国鉄無料パスを持って、全国行脚の選挙活動を行っていた。わたしは小学生の高学年になっていたので、選挙事務所にときどき一緒にいって、選挙を見学させてもらっていた。それが不思議なことに、その事務所が上智大学の中にあって、そこに集まってきているアルバイトの学生達に遊んでもらったことを思い出した。

やはり、映画と同じで、問題を起こしそうな20歳くらいの学生達だった。実際の選挙は残念ながら、次点に終わり、わたしの父も政界へ入ることなく、この映画のような泥沼を経験することがなくて良かったと思っている。大物政治家の師弟や、有名企業の御曹司と呼ばれていて、時間を持て余らせている学生達が、心理ゲームを演じていた時から、もう半世紀が経ってしまった。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。