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2012/03/04

「詩仙の間」に座し、K書店で本を渉猟して、読書会を催す気力を養った。

Photo仕事と疲れの量の両方が極致にまで達して、均衡点間近になってきたので、それを理由として小雨が降る中、20分ばかりのところまで、散歩に出る。雨のため、気温が上がったので、濡れることを気にしなければ、散歩にちょうどよい。

Photo_2北大路通りを東に歩いて、比叡山に連なる山間地にあたり、坂をちょっと登ったところに、詩仙堂がある。手前のバス停には、「一乗寺下り松」とあり、縁があるようで昨日ちょうどNHKテレビで、映画「宮本武蔵」が放映されており、一乗寺下り松での吉岡道場門下生との決闘場面も写っていた。

Photo_8そこから、両側に木造の落ち着いた住宅がならんていて、それが途切れたあたりに、詩仙堂がある。江戸初期1641年に、「石川丈山」が造営したとある。明日行くことになっている、ちょっと北にある修学院離宮は、1655年に出来たのだから、詩仙堂はそれより十数年早く作られたことになる。いずれにしても、江戸期のシンプル文化の典型であることには、間違いない。

Photo_9丈山は、かなりの曲者であったと思われる。あちこちに奉職しているが、いずれも求められて、あるいは推薦されていて、交流の広さを表している。社交に長けていたばかりか、詩仙堂をはじめとして、いくつかの造営を手がけているし、学芸についても、漢詩と隷書に通じていたということである。部屋には、いくつかの書の模造品が掲げられていた。

Photo_12今回、詩仙堂の「詩仙の間」に腰掛けて、雨の音を聞いていた。観光客が夕方になって途絶えたのが幸いして、静寂の中での景色を楽しんだ。この「詩仙の間」は、読書室であったらしい。四方には、詩片が掲げられており、本を散らかしていても十分のスペースが確保できる。縁側が巡らされており、冬の寒い時期には、寒さよけにもなっている。この静けさの中での読書は、格別の集中ができたであろう。

Photo_5今年は以前から大々的に宣伝しているように、公式・非公式の読書会を催そうと意気込んでいる。OBの学生の方からは、ソーシャル・リーディング、つまりは読書を種にして、交流を高める会となるように企画すべきとの提案も受けている。少しずつ形を整えて行って、読書会の枠組みをもう少し幅ひろく、構えを緩やかにした会を持続させて行きたいと考えている。以下、ちょっと宣伝です。

お知らせ:読書会の開催
3月31日(土)14:00から、東京文京学習センター2階第1講義室にて、
(第1部)『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』カリエール&エーコ著
・紙と電子の書物について読んで考えます。
(第2部)『金融危機とマクロ経済』東大出版会
・貧困について読みつつ考えます。
参加自由・無料です。テキストは、東京文京学習センター窓口で配布中。
比較地域研究会、坂井ゼミ主催。
もし時間があれば、ご参加ください。

Photo_13しっとりと濡れた砂地の坂道を、叡山鉄道の一乗寺駅に向かって、下った。この通りには、喫茶店が両側に夥しく存在する。ベトナムの喫茶店街ほどではないけれども、どのように客を奪い合っているのかが想像できそうであった。そんな中での存在のあり様として、この写真のようなものも、一つの手ではないかと、思われた。「インキョカフェ」というのは、詩仙堂が隠遁生活の場であったところから、名をとったものだろうか。生き残りの策として、背水の陣という、命名であると思う。

Photoちょっとびっくりしたのは、一乗寺駅の踏切を超えて、少し行ったところにある書店である。外から見ていると、何やら本屋なのに、雰囲気が街の本屋さんというものではないのだ。写真のように、レンガに緑の扉というのに誘われて、つい入ってしまった。何やら、客でいっぱいで、見て歩くにも人とぶつからないように注意する、というくらいなのだ。なぜ今時、新刊本本屋でこんなに客が入っているのだろうか。書棚を見ていくに連れて、それがわかった。本の品揃えが並でないのだ。

Photo_2たとえば、「クレーの日記」の8千円の本の横には、「北斎漫画」のシリーズ文庫本が並んでいる。反対側には、「河鍋暁斎」の岩波文庫が隣同士なのだ。人名で並んでいるわけでない。芸術文化の棚であることはまちがいないが、並び方は独特の並びがしていて、ここの店主の趣味が一つの世界を作り出しているような感じだ。

モランディの下には、グールドがならんていて、そうなのかという感じがない訳ではない。Z大学が近くにあるので、デザイン関係の本揃えが特に素晴らしかった。また、雑貨も素敵なものが並んでいて唸らせた。来週からは、廃刊となったポパイと宣伝の展覧会も催されるとか。

Photo_3古い古典だけが並んでいるわけではない。新刊本が中心だが、少し前の気になる本もキチンとフォローされていて、書棚を追う目を楽しませてくれる。一度入ったら、半日は簡単に時間を潰せることができる。よくもまあ、カタログや大都会の本屋さんが見逃してきた本で、魅力にあふれる本を探し出してきたな、という感じである。このような本屋さんが、京都の片田舎に、ヒョイと現れてくるところが、京都らしいところなのでもしれない。

Photo_4来週にはちょうど母の誕生日が巡ってくるので、プレゼントにちょうど良い本(郷里の「松本」の写真と文章の本)を見つけ、ラップでくるんでもらった。何という本屋さんか確かめずに入ったので、外に出て、写真を撮っていたら、女主人の方がこちらを見て、笑っていた。わたしのような観光客がたくさんくるのでしょうか。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。