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2012/02/10

キノコについての想いを辿るのは楽しい

20120210キノコについての想いを辿るのは楽しい。小学校時代からの特別な意味をつねに思い出させてくれるからである。すこし大袈裟な言い方かもしれないが、このキノコの記憶があることが、田舎育ちの一つの良い点だと思われる。田舎者と言われようとも、わたしの心のよりどころとなってきた気がする。

20120210_2キノコは、食べ物であると同時に、わたしの環境そのものだからだ。信州の北西部で育ったのだが、ここには、キノコ狩りという風習があって、学校で連れて行ったり、家族で行ったり、町内会の旅行として行ったりしてきた。このような風習は、季節が限定されているし、さらにキノコの取ることのできる環境が近くになければならないから、地域でもかなり限定される活動となっていると思われる。

20120210_3逆にいうならば、キノコ狩りのできるという経験を持っているだけで、すでにその環境の一員であることを認められたと言っても過言ではない。田舎のメンバーシップというものがあるならば、その重要な構成要素だと思われる。まだ、観光キノコ狩りというビジネスが成り立つまえのことである。

20120210_4だから、実際には、キノコの生えている場所を知っているのは、栽培している農家でなければ、キノコ狩りの名人がいなければならない。また、キノコには毒キノコというものがあって、これを見分けないとはいないという、食べ物としてのタブーが存在しているのも、キノコの面白いところである。

20120210_6ところが、ここが地域の閉鎖的であって、とても良いところだと思われるのだが、名人は親子であろうとも、ほぼ絶対的に密集地を教えることはないという点である。そしてこれは、環境の進化としては正しいのではないかと、わたしは思っている。

20120210_7もしキノコ狩りの名人がたくさんいたら、美味しいキノコは直ちに絶滅してしまうではないか。さらに、もし名人が世襲制だったら、その周りのキノコは永遠に独占されてしまうではないか。名人が一代限りだから、つまりは名人の絶対数を限ることで、キノコの絶滅を防いでいるのではないだろうか、と思われる。

20120210_9ということで、如何にキノコを食することには、自然に対する手続きが厄介なものであるのかを、信州に育ったものであれば、知っているのだ。何もここで信州生まれをひけらかすことは、ないのかもしれないが。じつは、今日は恒例の「清談会」であった。放送大学をご退官なさった先生方もお呼びして、Y先生ご推薦の六本木にある「G」へ集った。ここは、中国雲南のキノコ料理で名立たる店である。

20120210_10最初の前菜の中にも、キノコが使われていたが、味を見て歓談しているうちに、皿からはあっという間に、料理が消えてしまった。一応、当番として司会をしなければならないと観念していたが、すっかりOBの先生方の毒気とキノコの香味に当てられて座っていたら、司会なしでどんどん話は進んで行った。

松茸入りの薬膳スープは、アッサリとして好評だった。車海老と虎掌茸の炒め物は、想像していたものとかなり違った。牛肝茸の香味炒めは、こってりとしていた。肉と魚の料理が続き、さらに、豆腐料理と点心が出る頃には、紹興酒が何本かに達して、酔いが回ってきた。

20120210_11Y先生が店の若主人を呼んできて、雲南名物である「米線」の盛り付けをテーブルで見せてくださった。ここには、アジア的と呼ばれるものの原型が保存されているのを感ずる。コメを中心とする文化、麺を中心とする文化、薄い醤油味を中心とする文化が保たれている。

20120210_12キノコの効用が酔いとと一緒に、身体の中をめぐり出す頃、先生方を車で帰し、こちらも六本木の喧噪を避けるように家路に着いた。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。