« 雪が残っている群馬県での先生方の合宿に参加して、心身ともにリフレッシュした | トップページ | トランクをゴロゴロと引いて、東福寺近辺を歩く »

2012/02/26

集合意識は、どこで育まれるか

Photo この写真に写っているのは、思いがけずばったりと出会った、野生のニホンカモシカである。雪の中で、正面からの姿は、たいへん格好良い、と思う。すっと立っていて、素朴な眼をして、こちらを警戒することなく眺めている。雪の中のお嬢さんという雰囲気だった。

ところがである。わたしたちの姿を認めて程なくして、すたこらと坂道を上って、逃げ始めたのだ。その姿たるや、雪の中のカバという風情である。後ろからみると、栄養が良いのか、だいぶ太っている。Photo_3その重みで、雪の中へ足が沈んでしまう。ずぼ、ずぼ、と先ほどの鹿のごとくの、すっとした感じはどこへやら。自分の老年振りを棚に上げてしまうのであるが、中年太りのおじさんの歩調であった。せっかくの好印象が台無しであった。メタボの間抜けさは人ごとではない。こちらも昨日の料理がお腹に残っているのを感じつつ、温泉へ向かう。

Photo_4 朝起きて、宿の窓を開けると、雪が舞っている。表の共同浴場からの湯気と雪とが、冬の季節を構成している。朝風呂は、Y館の内風呂に入った。六角形のドーム型の建物に、湯気が蓄積して、朝のボンヤリした気分とマッチしている。湯の温度は、かなり高めなので、数を数えている間に、汗が吹き出て、手足の血管が働き出すのを実感する。Photo_5 そのうち、身体中が電気ストーブのように、熱を放出し始める。何か野菜を放り込んだら、煮立ててしまう勢いの温度である。じゅっとばかりに、朝茹での卵みたいに入って出た。それでも、何人かの我慢強い人たちはまだ入っていたのには恐れ入った。

Photo_6 集合意識は、どこで育まれるか。経験したてなので牽強付会の気もしないではないが、最も原初的な形のひとつは、温泉の大浴場ではないだろうか。ロールズの向こうを張って、無知のヴェールならぬ、裸のヴェール(語義矛盾ではない)でも唱えようか。Photo_7 湯船で一緒のお湯に入るだけで、他人のような気がしなくなるし、話しかけたくなるということが、その原型振りを表している。

Photo_8車に乗って、「法師温泉」という、日本秘湯の会の古株温泉を、K先生の案内で訪れた。ここの大浴場は、知らない人たちが、話をしながら、長時間湯浴みするのに適している。 第一に、湯船は10ほどの矩形に区切られているものの、それぞれ5,6人ずつ入ることができるから、50人以上が一度に入ってしまう。Photo_9第二に、男女混浴であり、女性にとっては入りにくい面もあるが、形式上は平等の作りになっている。大浴場に、男の低い声ばかりでなく、女の高い声も響くのはたいへん良い。 第三に、お湯が温めであるために、長湯できるようになっている。長湯するときには、当然会話が進むことになるだろう。

Photo_10 さらに、今回は「地熱エネルギー」についてのセミナー付きの温泉研修旅行である。環境の専門家であるS先生も同行しており、ひとしきり議論が続いた。温泉は好きだが、社会科学としてこれほど問題があるとは思わなかった。不覚を恥じた。Photo_11 たいへん勉強になったのは、温泉権という考え方であり、権利としてまだ不確定なところがあるということだ。もっとも、それを言い出したら、すべての権利はかなり不確定なものだということになってしまうのだが。

« 雪が残っている群馬県での先生方の合宿に参加して、心身ともにリフレッシュした | トップページ | トランクをゴロゴロと引いて、東福寺近辺を歩く »

日常生活の関係」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/173786/54276870

この記事へのトラックバック一覧です: 集合意識は、どこで育まれるか:

« 雪が残っている群馬県での先生方の合宿に参加して、心身ともにリフレッシュした | トップページ | トランクをゴロゴロと引いて、東福寺近辺を歩く »

社会経営研究配布中

  • 2015study

社会経営ジャーナル配布中

  • 2015journal

開いている講義    「社会的協力論」

  • cooperation

「音を追究する」第13回・第14回

  • art

「多様なキャリアを考える」第2回・第3回・第4回

  • cooperation

「グローバル化と私たちの社会」第11回

  • cooperation
2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

Recommend

プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。