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2011/12/16

枯葉の現実と、アニメの虚構

Photo強い風が吹いている。これで、今年のすべての枯葉は落ちてしまうことだろう。いつもより遅く、黄色に染まった銀杏の葉の落下も加速するだろう。

Photo_2今日は、K大の今年最後の講義である。それで、いろいろと片付けなければならないことがあったのだ。来週が祝日なので、例年より早く年末の休みに入った。学生も年末は忙しいらしく、いつもより出席率が悪かった。けれども、今日出席している学生は、むしろ熱心な学生が多いはずなので、ちょっと趣向を変えて、特別のメニューをこなしてきた。

また、今年度は講義のレジュメを比較的たくさん作ったのだが、残りをすべて持って行って、在庫一掃を行った次第である。それでも、学生からのレポートや欠席届などがロッカーに溜まってしまっていた。それらを整理していたら、いつものとおり図書館へ行くつもりだったのだが、すっかり時間がなくなってしまった。

駅に出る住宅街の外れに、昨年まで魚屋さんがあって、歳をとった人びとの多い街なので繁盛していた。ところが、さらにそのことをご本人たちがビジネスチャンスだと感じていたらしく、この魚屋さんが何時の間にか料理屋として店を出してしまった。この地域は商店も高齢化して、閉じる店が相次いでいた。住宅街であるから、このような料理屋さんが続くわけがないと思われていた。

ところが、いつ見ても客はそれほど入っているわけではないが、店は活気に満ちていて、失礼ながら今なお持続している。不思議だな、動物的カンという言葉はあるが、魚的カンという現実も、高齢社会では有りうるのかなと思った。メニューも美味しそうな魚、うなぎ中心の献立が並んでいる。ここを通るのが、2時から4時であるために、ランチにも、夕飯にも中途半端な時間なのだ。まだ店に入ったことはないが、冬のうなぎを一度いただきたいと考えている。

Photo_4電車で、川崎のチネチッタへ出る。クリスマスの飾りがきれいで、ここへ来ると、いかにも遊びにきた、という雰囲気の世界になってくるから感心する。一直線に映画だけを観て、すぐ帰るという人もいないだろうから、このようなちょっとした雰囲気がやはり重要なのだ。

今日は、外国のアニメ映画に挑戦した。これまで、アニメ映画は、全般的に敬遠してきた。それは、いわば写像の問題だと、自分では思っていた。実物と映画とは、ほとんどがフィクションなのだから、写像関係にある。実と虚の対比が映画を成立させている。現実の社会があるから、描かれる虚構の世界が意味を持つのだ。

Photo_6アニメも同様だ、と言ってしまうこともできる。それでも良いのだが、やはりアニメは最初からアニメ独自の世界を形成していて、手を挙げる仕草を描いたとしても、それはすべて頭の中で計算されて描かれているのだ。けれども、実写映画の場合には、同じく手を挙げるにしても、役者それぞれの演技によって異なり、その自然の元に、演技が構成されることになるのだ。これは、かなり違う世界なのだと思われる。

Photo_8つまり、虚構の構造そのものについて、異なる点が多いと言えるのではないだろうか。今回の映画のテーマだと思われるが、アニメが実写と同じリアリティを出そうと思ったら、すごく大変だな、ということである。アニメはアニメであることで、リアリティが出るのであって、実写と同じリアリティを出そうとした途端に、なぜアニメにしたのかがわからなくなってしまうだろう。今回観た映画は、この辺をまったく取り違えてしまっているのではないかと思われた。

虚構の世界の奥深さは、現実を写しとるだけでは満足せず、現実に近づけることでも、なおさら満足せず、現実を超えたときにようやく満足するというところにあるのではないだろうか。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。