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2011/09/19

経済衰退と文化の深い関係

0919北イタリアのミラノに来ている。今回は、「社会の中の芸術」という授業科目の関連で、さらに、社会的論理を芸術の中に呼び込んでいる作品と考え方を収集しようという試みだ。もっとも、自費研修であることから、勉強だけではなく、社会全体を観察しようという、娘を伴った気楽な旅行となった。

とりわけ、以前から気になっている点があった。文明の栄えたところでは、経済衰退と文化・芸術との関係が深く現れてくることが多いという事象だ。英国の衰退論には、多くの議論が存在することは知っているのだが、他の文明国ではどうなのだろうか。

イタリアではどうなのだろうか。ローマ帝国衰退と文化との関係は歴史ではよく取り上げられるが、その具体的な現象は、都市文化にはどのように現れてくるのだろうか。なぜミラノに来たのかといえば、それは以上のことがあったからなのだ。さらに、ヴェネチアでは、貿易衰退期がルネッサンス期にあたっているということもある。

けれども、それにも増して、もうひとつの旅行の理由があった。それはいつも、放送大学の評議会で隣の席に座るS先生が、哲学から観た芸術について一連の作品をお書きになっていて、とりわけ印象的な評論に、「ロンダニーニのピエタ」に関する作品があり、それを読んで、一度はミラノを訪れなければと考えていたからだ。

「ミラノとヴェネチアは初めてですか」と先週の評議会でも言われてしまった。「ピエタはもちろんですが、ティントレットとベッリーニも観て来たほうがいいですよ」とちょっと呆れ顔なのか照れ顔なのかなさって、細かいことを教えていただいたところだった。先生は、20年程まえに、3回ほどいらっしゃったとのことだった。

0919_2さて、今日は、成田からミラノへの直行便だったにもかかわらず、飛行機が大幅に遅れて、マルペンサ空港に着くと、空がすっかり闇に包まれてしまっていた。空港から鉄道に乗って着いたカドルナ駅で、空腹だったので、さっそくピザを頬張った。駅から10分ほどのところにある宿は、18世紀の古い建物群がならぶミラノの中心街で、一階には本屋や美術品の店が入ったマンションの2階、3階、4階を占める、いわば「民宿」という雰囲気のホテルだ。

0919_3日中はドアが開いているのだが、夜になると頑丈な扉が閉まってしまって、初めて来た者には到底入ることができないようなところだった。表札には宿の名前が書いてあるが、扉は固く閉まっていて、周りの店もはすべて鎧戸が降りている。外からは、到底ホテルのようには見えない。

0919_4ところが、偶然友人を訪ねて来た親切なミラノっ子で、歴史家の面持ちのある方が現れて、内部と連絡を取ってくれた。連絡をとって、扉の内部へと導いてくださった。この建物は歴史的な建物らしく、Mercantという名称がついているところを見ると、昔は商人の館だったところかもしれない。それにしても、もし入れなかったら、どうなっていたのだろうか。

0919_5フロントの女性は親切で、部屋を案内して、ダブルの部屋をツインにするか、それとも、初めからツインの部屋にするか、など面倒を見てくれた。最初に案内された部屋が、4階のテラスに面した部屋で、部屋と同じくらいのスペースが自由に使え、しかも、朝食もここへ持ってきてくださるというので、決めることにする。

0919_9夜の散歩として、歩いて5分くらいのところにある、街の中心のドォーモとスカラ座へ行き、外見だけ観て帰ってくる。ちょうどスカラ座が跳ねたところらしく、楽器をもった団員たちが帰宅するところだった。産業や商業は今いちの状態だが、文化は盛んな街だ。0919_7

文化に関心がなくても、街を散歩すれば、スカラ座のようなところに当たる。プログラムも、柱に掲げられていて、天井桟敷に通うツウたちがいかにも現れそうな街だ。

0919_15古い町並みをダンテ通りをさかのぼり、明日行く予定である、0919_16スフォルツア城へ向かってゆっくり歩き、宿に戻った。



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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。