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2011/08/18

帰りの道中にて

Photo 世の中に、暑い世界と涼しい世界があるということは、通常は地球規模の話であって、海外旅行をしなければ、あるいは、夏の北海道を夢想しなければ達成できない相談だったのだが、それがいとも簡単に、実感できるのは、いつもこの季節特有の皮膚感覚と五感全体に繋がる感覚が発達してきたからである。春秋になれば冬夏の両季節を通ずるような、季節感があるように思っていたが、それは間違いで、真夏に氷を食べるから、寒暖の差が感じられるのである。

写真に写っているのが、「真夏の氷」に見えないのは当然だが、気温差10度の二つの世界が同時に写されていることは、誰が想像出来るであろうか。左側が気温25度の世界であり、右側が35度の世界である。ほんの少しだけれど、木の茂りが違っているのがわかるだろうか。左側には虫が飛び交い、右側には消毒された空気がただよっている世界なのだ。

というわけで、いとも簡単にいつものことではあるが、25度の仙翁の生活から、35度の現実世界に引き戻されることになった。大糸線は、通勤通学客に加えて、観光登山客で足の踏み場もない。先日の電車でもそうだったのだが、通常の二両編成のところに、多くの普通じゃない乗客が殺到したのだから仕方ないけれども。

現在時点では、高速バスを利用すると、片道2400円で新宿・東京へ着く。対して、JRは、乗車券・特急券合わせて、片道8000円を超える水準なのだ。ヒタヒタと、高速バス需要の伸びが押し寄せて来ている。こんなことで競争に勝てるのだろうか。もちろん、まだまだ料金の3倍差を補っても、時間の正確さなどのサービスの良さにはかんして、JRにかなりの優位性がある。

米国でのバスの優位性が確立されたことと比べて、パターナリズムだと言われようとも、日本のJRにはまだまだ良い点はある。米国の個人主義の強さが、バス網を促進し、さらに乗用車化を進めて来たのだが、そこにはコミュニティの崩壊と個人主義の進展とが背景には存在していたと見ている。

実は今日は、80歳を超える老親を連れて、JRに乗り込んだのだが、ドアに寄りかかっている母に対して声をかけて下った方が、一時間に3名もいた。その後、荷物に掛けさせたせいで、お尻が痛かったと言われてしまった。社会調査の真似事をするに、思わぬ結果とはいえ、老親に鞭打った所業を許してもらいたいと思う。さらにその後にも、首都圏に来てからも、若い方に声をかけられたのだ。実際に、座ることができるかどうかよりも、声を掛ける習慣がまだ絶えていないかということ自体が重要なのである。まだまだ、JRのソーシャルキャピタルは健在であるところが多いと言えよう。

それにしても、母は良く耐えてくれたと思っている。お尻の下の荷物から、信州で珍しい勝沼ワインのレアものを買ってあって、それが出てきたのだ。これが当たっていたら、痛いはずである。それから、わたしにまで声をかけてくださった方にも、社会的には、十分意義あることだと伝えたいところだ。顔を見て、ちょっとまずった、という表情をしていたが、手遅れだ。わたしゃ、まだまだ、席を譲られたくはないのだ。でも、感謝している。

Photo_11 松本ですこし時間が出来たので、すこし歩く。先日、時間が無くて、通り過ぎた急須の展覧会は、定休日ではないのに、残念ながらお休みだった。入口からちょっと覗かせていただいて、縦長の素晴らしい形をした西洋風急須を鑑賞させていただいた。Photo_4 このメインストリートで、これだけのギャラリーを維持するのはたいへんだろうと思われる。けれども、松本の人びとの文化に対する伝統もまだまだ健在だと思うので、ぜひ頑張っていただきたいと思う。

Photo_5 ゆっくり歩いて、結局のところ、C店にまた行くことになった。本来、来年購入する予定であった、カップを買うことに決めた。この一年何が起こるかわからないのだ。この店のものは不断に使うことが考えられているので、名前の入ったものは売られていない。けれども、聞くと答えてくださる。今回の八面粗く切った白磁カップは、島根で焼かれたものだそうだ。

Photo_9 家へのおみやげを聞くと、いらない、という返事だったが、「まめ板」があるよというと、二つ返事で好物だというので、購入。昔、松本の家で、飴売りの自転車が回ってきた。S飴というところの、白い板状の飴と、たぐり飴だった。Photo_10 ときどき、その飴屋の引き出しの中に、まめ板もあって、飴専門の割るための小さな金槌で、ポンポンと割って、売ってくれた。懐かしい味だ。そして、今回の山での収穫は、論文への道しるべを手に入れたことだが、それは抽象的なものなので、具体的写真で替えて置こう。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。