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2011/08/09

追究される味

先日の上諏訪での面接授業に駒ヶ根市から来ていた学生のYさんから、焙煎豆をいただいた。さっそく淹れてみることにする。林のなかの、木漏れ日が差し込むテーブルには、そよ風が吹いて来て、コーヒー生豆の香りを散らしている。

Photoじつは、写真で見るように、豆自体たいへん綺麗な粒である。ピーベリーと呼ばれている小粒の豆である。これまでは、ジャマイカ系の大粒の平豆と対照させて、高級豆として、飲んだことはあるが、今回はグアテマラであるという。わたしにとって、初めての味だ。

見てのとおりの、粒ぞろいであることからして、かなり手がかかっていることはよくわかる。一本のコーヒーの木から採れる量が限られているらしいので、そもそも出荷段階で、形の揃っているものだけが売られているものと思われるが、それでもさらに、ハンド・ピッキングを丁寧に行ったに違いない。

Photo_2本来、ピーベリーという形自体が、大きさについて不揃いの目立つ性質を持っている。それは、たぶん楕円形である通常のコーヒーの平豆とは異なって、真ん丸い形をしているからだ。少しでも大きさが異なると不揃いと言われてしまう、特別の形だ。今回は本当に綺麗な形のものを持って来ていただいたのだな、と感じた次第である。

焙煎にも微妙な影響の出ることが予想される。つまり、真ん丸いために均質な焙煎が可能になるだろう。さらに、ミルにかける場合にも、豆が小さいために、このわたしの山の家にあるような貧弱なミル器械でも挽きやすい。カリカリと軽い音をたてて、粉になっていく。

肝心の味は、どうだろうか。わたしは舌にチリチリと来る焦げ味をいちばん苦手とするのだが、それはまったくない。それどころか、まろやかなコクが感じられる。上品で、甘い風味を乗せていて、苦味と酸味を抑えている。たいへん稀有な味に仕上がっている。

Photo_3豆自体の持っている潜在力を最大限に評価してやることが、焙煎の場合には最も困難なことなのだが、それを達成している。たぶん、グアテマラの潜在力は、コクということになるのだろう。このような抑制の効いたコクの味わいはなかなか稀有であると思われるのだが、見事に出している。

たぶん、何回かの試行ののちに、最も良い部分を持って来てくださった、という感じである。神様が降りて来たといえるような、焙煎具合であったに違いない。焙煎士を目指して勉強中だとおっしゃるYさんは、控え目だが、芯の強さがありそうな人柄を感じさせるのだが、この味もそのとおりである。駒ヶ根市を検索してみると、数軒の自家焙煎の店が載っている、たいへんな少数激戦区である。だから、舌も肥えているのだろう。Yさん、本当にご馳走様でした。


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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。