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2011/08/30

クールな関係とホットな関係

午前中、民主党の代表選があるので、ストリーミング同時配信の民主党チャンネルを見ていた。放送大学の研究室には、放送の大学だというので、以前にはテレビが一台必ず配給されていた。けれども、このご時世で、自分で購入すべきだということになった。それで、ほとんどの研究室からテレビが消えたのだった。何か事件が起こると、カンファレンス室のテレビにお世話になるのだが、今日はあいにく、Aさんがお休みだったので、ネットテレビで見ることになった。

第1回目でO元代表側のK氏が過半数を取らなければ、決選投票では負けることは、ほぼみんなわかっていた。絵に描いたように、第2回目に逆転して、N氏が代表になった。ところが、ネットテレビを見ていてちょうど決選投票のときに、じつはこちらのほうで事務的な大きな問題を抱えてしまって、相談のために係の方がいらっしゃっていて、集中して見ることが出来なかった。残念だった。けれども、投票に持ち込まれたときには、ほぼ半分は決まっていたと言えよう。

「投票」というのは、たいへん「メカニック」なやり方だと思う。本来はN氏に対する議員の対応は、千差万別であろう。それを形式的なひとつのメカニズムに集約してしまって、感情や雑感は省略されてしまうことになるのだから。一度、投票形式の土俵に上がってしまえば、それ以外のことは眼中になくなることになる。それが投票というものの、形式主義的な問題点であり、面白くもあり、悲しくもあるところだ。政治家の間では、決定の方法論として、投票は最もクールな関係を築いている。

今回とりわけ、わたしが注目したのは、N氏とM氏との関係であった。最初M氏はN氏を支持していたのだが、最終的には自分も代表候補に立つことになった。身内だった人がライバルになったときに、相手を思いやるのか、それとも、投票のメカニズムに任せるのか、という選択が行なわれるのだと思う。政治家だから、ウェットな心情よりも、最後はメカニカルな投票が決定してくれる、と両者とも思ったのではないか。その結果、両者の間の話し合いは中断され、表に出ての投票での決着になったと思われる。本来ならば、ここは両者ともに投票のメカニズムに出処進退を任せてしまうのではなく、無理をしてでも話し合いで決めるべきだったのではなかったのではないだろうか。それとも、形式というもの自体が必要だったのだろうか。

Photo さて、きょうの問題は、「メカニック」ということである。午前中の事務的な問題点も先送りすることで、今日のところはおさめてしまったので、早々に切り上げて、映画「メカニック」を観に行く。久しぶりの川崎チネチッタである。じつは先日チネチッタへこの映画を見ようと駆けつけたところ、3分前に本編が始まってしまっていて諦めたのだ。この映画の主人公の信条である、「周到な準備が勝利を導く」を肝に銘ずべきだと思った。

Photo_2 映画「トランスポーター」での演技で人気のあるジェイソン・ステイサムが演じるアーサーはメカニックと呼ばれるプロの殺し屋だ。闇の組織に雇われて次々と暗殺を行なう。殺人の痕跡を残さないことを信条としているプロだ。

アーサーにひとつの仕事依頼がある。それはアーサーの恩人の暗殺であった。友人を殺すときには、猶予を与えてから殺すのか、それとも、意識させることなく殺すのか。「メカニック」としての答えは後者であり、後に恩人の息子にこう尋ねられたときも、後者だと答えている。けれども、実際には、アーサーは前者を選択しているのだ。

メカニックというイメージは、無機的でクールな関係だが、人と一緒に動いているものだ。そこに有機的なものが入る余地がある。実際には、人間は完全に無機的でない。そこで、無機的になる場合には、有機的な要素と無機的な要素をも分解して、切り離さなければならない。投票に入る場合、殺しに入る場合、この切り離しが行なわれ、クールな関係が成立する。

本来、一緒に存在する物を切り離したときに、何が生ずるのか。この深刻な影響をさらにメカニックに扱うのか、それとも、やはり無機的にはできないとして人間として解決するのか、このところをきちんと認識するかしないかで、人間というものの質が異なるものになってしまうのだと思われる。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。