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2011/08/23

寛容と復讐

Photo 午前中、大学で溜まっていた書類の山を片付ける。とはいえ、この暑さだ。冷房を切っていると、熱風が外から吹き込んでくる。大方のものが片付いた段階で、節電に貢献するために、午後の早い時間に千葉市内へ出かける。

Photo_2 昼食には、この暑さのせいか、甘いものが無性に食べたくなったので、久しぶりに、Rへ入って、スイート・ランチを頼む。この店のランチメニューのなかでは、シチュー・ランチも好きなのだが、それからピザ・ランチも売り切れてしまうほどの人気なのだが、最初に来た時の出会いが良かったので、甘いトースト系のランチ、数種類あるのだが、をときどき食べたくなる。

Photo_3 これは、この店の取り柄で、ランチに来ても良いし、おやつの時間に来ても堪能することができるようになっている。これだけのバリエーションを載せているところをみると、少なからず愛好者がいるのだといえる。けれども、やはり女性客がほとんどであることは間違いないところだ。

Photo_4 今日は、林檎煮とバニラアイスクリームを乗せたバタートーストだ。リンゴとバター、さらには、アイスクリームとパンの風味が一体となって、味覚を襲う。トーストは、写真でわかるように、厚く切ってあるので、ちょっとした食べ方がある。真ん中をくり抜きながら、バターのかかったところを中心にして食べて行くのだ。芳ばしいバター風味がとりわけ鼻を刺激する。

Photo_6 映画の時間までは少し間が空いていたので、まずは、コーヒー豆をいつもの焙煎屋さんで大量に買いこんだ。ケニア、ガテマラ、コロンビアの香りがリュックの布を抜けて漂ってくる。今日は、さきほど甘いものをたっぷり食べたので、いつものケーキ屋さんの前は通り過ぎる。コーヒーの強烈な香りだけを持ちこみながら、C劇場へ入る。

デンマーク映画「未来を生きる君たちへ」を観る。まず、デンマーク映画というのが、珍しかった。夜になっても、外のベンチでただ空を眺めたり、海を遠望したりする情景が北欧だというイメージを伝えてくる。それは、主人公のもう一つの活動場であるアフリカの砂塵や砂漠の昼の情景と対称をなしていて、映像の厚みを加えている。

Photo_7映画の中で、スウェーデン人がいじめに遭うのだが、北欧ではリベラルな倫理観が強い人びとだというイメージが強いので、北欧の国同士で差別のあることがテーマになるとは思わなかった。それは、ちょっと意外な感じがした。けれども、いじめは世界共通現象であって、国によって異なるかもしれないが、存在しないということはないだろう。

Photo_8スウェーデン人の子供エリアスとその父親で医師のアントンを通して、彼の家族が暮らすデンマークの街と、アントンが働くアフリカの難民キャンプとが映画の舞台である。この家族にロンドンから転校してきたクリスチャンとその父親。この二組の家族が二人の子供を通じて絡む。デンマーク語の原題は「復讐」であり、デンマークでのいじめ、アフリカでの暴力に対して、復讐と寛容の間を、ぎこちなくではあるが、いかにバランスさせるのかが描かれる。

核心は複数あって絞ることはできないが、普遍的な倫理観が問題となっていることはわかる。それは万国共通の問題だ。復讐と寛容と言ってよいかどうかは判らないが、たぶん倫理観には閾値というものがあって、寛容を規準として行為するにも限界があり、また復讐にも限界があるということを言おうといているのだと思われる。実際には、具体的な事件を巡って、これらの判断が問われている。ある種の寛容を忍耐強く持てば、事態は好転するかもしれない。けれども、あまりに寛容にしすぎると、反動は必ず生ずるので、事態は悪化するかもしれない。

この間のバランスを決定するのは、個人の解決というものの限界を超えているとしか言いようがない。映画の中でも、二人の父親がこのバランスをうまく演じていたが、一人だけでは解決できない問題がこの世には存在することをうまく描いていた。

自分の立場になって考えてみると、自分の子供たちとこれほどのコミュニケーションをとってきたのか、寛容と不寛容を上手く組み合わせてきたのかと問われれば、ほとんど否定的な返事しかできないと思われる。

ということは、かなり精神的な意味において、これはこれでかなり「映画的」だと言ってよいのではないかと思われる。これほどのコミュニケーション能力は、現実にはなかなか持つことができないのではなかろうか。そして、これほどの子供というのも、なかなか存在しないのではないかとも言えるかもしれない。もちろん、これほど考えのある子供たちが映画のなかではなぜこんなバカなことをやってしまうのか、というのは疑問だろうけれど。結論からすれば、映画的にみて、子役の二人の演技が素晴らしいということになってしまうかもしれない。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。