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2011/08/03

アングリー・ボーイ

採点の山場を迎えている。現在のところ、わたしが主任講師をしている科目の受講生は放送大学だけで、前期で2500名あまりである。1年間ではこの倍ということになる。これは6科目分である。さらに現在、他の3科目に担当講師として出ている。このように多くの科目を制作しているのも、放送大学カリキュラムの「多様化」という流れにしたがった結果であると自分では考えている。

このうち、記述式の答案を課しているのは、放送大学の3科目で、約1000名ほどの受講生がいる。K大では170名で、W大では40名を引き受けていることを考えれば、放送大学は普通の大学の規模概念からは程遠い性格を持っていることがわかる。一学期にせいぜいのところ、百人を持てば、だいたいは通常の大学のノルマ(このノルマという言葉がロシア語であったというのは、最近知ったのだ。)は達成できる。だから、通信制であることを割り引いても、数千人の受講生がいるというのは、想像がつかないだろう。

もっとも、語学や心理学のように、単科目で数千人の受講生のある科目もあって、これらは日本の教養科目の概念からすれば、予想される結果であるかもしれない。どのような大学でも、教養科目は大勢の受講生を抱えていて、規模の経済性を目指しているからである。けれども、最近はいわば「多品種少量」の、つまりは多様な科目で、少しずつの受講生を受け持つようなものが出てきているのだ、という認識が行なわれつつあるのだ。

この採点となると、本当に想像を絶している。そこで多くの先生方は、択一式を用いて省力化を図っている。わたしの科目でも大勢は択一式に頼らざるを得なくなってきているのが実情だ。けれどももちろん、このような科目も必要なのだが、やはり社会科学の試験は意味を問うものが多いので、論述形式を選びたいとすこし頑張っている。

その結果、大変な状況が待ち受けている。今日はF先生の支援のもとに、採点を一日かけて行った次第である。約1000名の記述式試験答案は、眺めているだけでも壮観である。全部を読めば、800字を課しているから、1000×800で80万字を読むことになる。もちろん、一日ですべて行なってしまうことは無理だ。けれども、1000名の中には、欠席者なども含まれているので、大変といっても仕事の許容範囲内の話なのだ、

今、採点の最後に差し掛かっていて、そろそろお借りしている学習センターの閉所時間が近づいているのだ。あともう少しのところまで来ているのだが、急ぐわけにはいかない。センターの職員の方に無理を言って、30分ほど延ばしていただいて、ようやく完成した次第だ。マラソンを10時間かけて完走した気分はこんなものではないだろうか。心臓がばくばく言って、とどまるところがない。

それで、目もショボショボして今日はこれ以上何もできないだろうと、F先生と意見が一致して、関内の馬車道にあるTというパブへ繰り出す。先日、原宿で入った店の姉妹店で、こちらの馬車道店のほうが二階建てで広い。カウンターでエールを1パイント買って、自分でテーブルに着く。英国のパブ風である。

Photo_11ここの「アングリーボーイ」というエールは、たいへん評判が良く、先日のF君も、今日のF先生も、一杯目で旨いと言ってくれた。連れて来た甲斐があった。酒の話題は、移民のグローバリゼーションだった。F先生が先日香港まで行って仕入れて来た移民統計の解釈がたいへん興味をひいた。労働力のグローバリゼーションと、資本のグローバリゼーションはかなり複雑な関係を持っていることがわかった。

Photoわたしは英国風の生ぬるいエールが好きなのだ。原宿では試してみなかったがが、季節エールのなかにその店の限定品があって、それを立て続けに飲んだのだが、ビールだとこんなにも飲まないのだが、やはり好みというのは恐ろしいものだ、と思いつつ、さらにお代わりを続けたのだった。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。