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2011/07/07

70年代の新しさ

今日は雨になるから、きっと過ごしやすい日になるだろう、というので、午前中は読書に勤しんで、午後から飯田橋へ出かける。着いた時刻が悪かったらしく、何でこんなに人が居るのかというほど、街に人が溢れかえっていた。喫茶店で時間を潰そうと入っても、座席がないという。

仕方がないので、直接映画館に入り、始まるのを待つことにする。親切なモギリの方々で、次の回が始まる前には、会場に入る優先順位をつけてくださって、今か今かと、会場に入る準備万端。

会場から出てくる人をみていると、ほぼ同じ年配であったが、けれどもいつものように、圧倒的に女性が多かった。映画は1970年代初めに制作された、「ハロルドとモード」である。80歳過ぎた女性モードの最後の人生の話である。最後になって、自分の人生にどのような意味を与えるのか。それは、70年代であっても、大きな問題だ。それが21世紀になって、これほど現実味を帯びる問題になるとは、190年代のほとんどの人は思わなかったのではないか。

彼女のそれまでの人生は、映画を観る観客には隠されている。腕に刻まれた入れ墨の番号や、警察官に対する態度などから、それとなく察せられる、とはいえ、それを裏に秘めておいて、表面にそれとなく出すことのできる演技は並大抵のものではないと思われた。

そのうえで新たな出会いが始まることから、このドラマが成立することになる。映画の主人公は、12歳のハロルドのほうであり、幼さの領域から、大人になるまでの、教養過程の映画であることは間違いない。自殺願望という幼さが、どの様にして、生きるという現実社会へ社会化されるのかを描いている。こちらのほうがはっきりしているから、主題のブレがないので、多少の大人げない社会批判や、警察批判や、教会批判も許されるかもしれない。

それにしても、笑いの基本として、警察官のピストル発射や、牧師の道徳的説教をこれほど典型的な材料としてとりあげ、成功している映画も少ないといえる。警察官も牧師もこれほど典型的に扱われたのであれば、許していっしょに笑ってしまうに違いない。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。