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2011/03/11

東日本大震災

Photo地震発生当時は、自宅にいた。めまいのするような揺れに家の外へ飛び出した。隣近所のほとんどの方々が、道へ出てきた。幸いにも、本が棚から落ちて、床がいっぱいになったほどで済んだ。もともと、これだけ散らかっていたという人もいるが。

その後、テレビを見ていて、津波の恐ろしさを感じた。リアス式海岸の谷にしたがって、線的に遡ってくると思っていたが、そうではなく、東北地方のほぼ太平洋側の全面、面的な被害が多いのにびっくりしている。

水がぐっと登ってくる恐怖感は、味わった人にしかわからない感覚かもしれない。上から見ているだけではわからない。量的にも質的にも、川と海の違いは大きい。一度、トンガへ行って海岸から泳ぎ出した海で、大きな波にさわれそうになったことがあるが、水が相手だから、浮かんでしまえばこちらのものだという考えは通用しないことがわかった。

わたしは山国育ちだから、川の感触は何となくわかるのだ。水泳をしていても、岸に達する加減はそれほどのことはない。流れに注意すれば良いのだ。流れの中に、水の秩序が形成されている。けれども、海には一方向への流れというものがないので、それはあたかも現代社会そのものと同じように複雑かつ多様な動きを示す。左右に流れるばかりでなく、上からも下からも流れがある。というよりも、どーんと全体として流されるのだ。

地震になると、徹夜の日に当たるという変なジンクスがある。阪神淡路大震災のときも雑誌の書評原稿が当たっていて、夜明けにニュースに遭遇した。今回は、震災の後すこし余裕があったが、やはり原稿締め切りに当たっていた。

津波のイメージが今回はかなり異なったものだった。江戸時代から、三陸沖ではリアス式海岸になっていて、津波が起こったら、いわばロート状態になり、幅がだんだん狭くなるので、水の勢いが加速度的に速くなり、威力が増すのだ、と言われてきた。これは、小学校、中学校、高校を通じて、地理の時間に教わってきたことだ。だから、津波は広いところから急速に狭いところへ被害をもたらすのだという、イメージであった。

ところが、実際には、テレビのニュース映像に写ったのは、そうではなくて、広いまま海岸線をずっと洗ってしまうという。いわば、面として、あるいは、塊として、家々をさらって行ってしまう姿だ。典型的な映像では、川をさかのぼる水が写っているのだが、その隣では、川の堤防の外側で畑を呑み込みながら、ひたひたと川とおなじスピードで陸地を遡って浸食していく、水波が写っているのだ。

このような面として襲ってくる感覚は、あちらにもこちらにも対処しなければならないという、多面的な状況だということに違いない。南三陸町の映像が繰り返し写っている。これによると、津波が襲ってきたのは、14時46分の地震発生から約30分後であったことがわかる。この30分の間に、町の高台へ逃げた人々は助かったが、遅れた人びとは被災したことになる。志津川が写っている。けれども、映像の隅の川とは別の方から、全面的な波が押し寄せてきたことがわかる。

仙台市空港近くの名取川でも、同様な状況があった。ここは平野だから、川をたどって平野部へ水が上がっていくのかと予想された。けれども、結果としては、堤防の全面決壊で、すべてのところから、水が浸透していったという状況だ。さらに、上流の方へ行くと、むしろ平野部へ広がった水が、流れ場所を求めて、川へ水が流れ込んでいる様子が見られた。水面の全面展開という状況が、家々を、自動車たちをさらっていった。

Photo_2どう見ても、今回は、広い範囲で、いろいろなことが孤立しながら同時進行で起こっている、という印象が強い。夜になって、地域全体が停電した。それで、いろいろなものが復活を果たした。ろうそくは、頼りになった。手巻きラジオも、数分間しか持たなかったが、それでも無いよりはましだった。そして、とにかく落ち着くためには、珈琲が一番だった。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。