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2010/12/29

アジア的多様性

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今年、目の記憶に残っている、鮮やかな印象は何かと問われるならば、晩秋に訪れたベトナムのハノイのイメージだろう。中でも、最も色彩豊かで、多様なもののイメージを具体的に見せてくれたのが、これらの写真に映し出されている、繊維問屋街での多彩な「積み重ね」である。

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なぜこんな積み重ね方をするのだろう。おそらく、日本の繊維問屋でこのような横積みをするような店はほとんど存在しないのではないかと想像する。専門家に聞いてみたいところだ。反物として、巻いて収蔵するのは、良く見たことがある。巻いてあれば、縦積みでも横積みでも、大丈夫のような気がするが、このように畳んで横積みにするのは、保存上皺が付くし、日焼けが部分的に起こってしまう気がする。

最も合理的でない、と思われるのは、客が来て下の方にある生地を取り出す方法である。もっとも、合理的である必要はまったくないのだが、売り子の立場に立つと心配してしまう。どうやって、取り出すのだろうか。一緒に行ったN先生とNさんによると、上に積み重ねられたものを一つ一つそのたびに退けて、いちいち取り出していたそうである。ウーン、何となく解せないな。

なぜこんな積み方をするのか、ひとつの理由は明瞭である。誰が来ても、すごい、と声を発する。広告・宣伝効果は抜群で、一度ならず二度三度と、ただ見るだけでも行ってみたい気にさせる。この効果には絶大なものがある。「アジア的多様性」というものがもしあるとするならば、この積み上げにこそ、その名を与えてやりたい。それほど、見ていて飽きない。二つとして、同じ色の重ねは存在しないほど、多様な積み重ねなのだ。

Cotton2
もうひとつ理由があるような気がする。この積み方でも、十分合理的だと思わせる仮説だ。つまり、需要があって売れるものはどんどん上の方へ重ねていく、という方式をとれば、労力はそれほどかからないし、結果として多様になるような気がする。つまり、売れたものを一番上に積み重ねるということを何度も行なった結果が、現在の多様な配列を自動的に造っているのだ、という解釈だ。

このような配列方法は、わたしたちも良く利用する。本を読んで、読みおわった順に本棚に立てていく、という方式である。そうすれば、たびたび利用する本は、常に手元に近いところに存在し、あまり利用しなくなった本は、遠くへ連なっていく、ということになる。これと原理は同じだ。

Cotton3
自然界でいうところの「べき乗法則(Power Law)」がここでも見られるのだ。わかってしまえば、きわめて常識的な法則の下での合理的な関係で、これらの多様な積み重ね模様が成立していることに気付くのだが。さて、ほんとうにこの解釈は合っているのだろうか。


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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。