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2010/04/10

夜桜

雨が降りそうだと思っていると、急に晴れたり、晴れたと思っているとにわかに雲が覆ってきたり、春の季節に翻弄される毎日だ。天候の移り変わりが激しいのと同様に、昨日は講義を始め、今日は大学院のスタートを飾る新入生オリエンテーションの日と続いた。日常は動いている。

部屋を覗くと、すでに学生たちはいっぱいで、いつもは教授会が開かれる部屋にいつもより若々しい方々が並んでいる。これから始まるという雰囲気は、実を言うとかなり苦手だ。ほんとうにそれほど期待できるようなことなど、それほどないのだし、さらに研究論文に喜んではいってくるなどと言うことは、その苦労を知っている者にとっては正直いってトンデモナイことだ。それにもかかわらず、このトンデモナイことに、これほどの人数が集まるということは、大学院の論文作成にそれなりの求心力があり、人々を日本中から呼び寄せる何ものかがあるということであり、こちらも身が引き締まる思いだ。じつは、こちらの、この書き始めようという緊張感だけは好きなのだ。

毎年、学年ごとの特色があるが、印象として今年は女性が多いような気がする。社会経営科学プログラムは、これまでビジネス関連、公務員関連が多かった。そこに女性層が浸透してきているということだと思われる。

例年、文献の集め方について、プログラムから頼まれて話すことにしているが、いつも過大な要求を学生に強いているらしく、厳しいな、といわれることがある。「厳しい」といわれる理由を考えてみたが、第一に新入生に対して、はじめから専門の最先端へ到達してほしいなどと言ってしまうのだから、やはりそれはきっと厳しいのだと思う。

学生の中には、大学院のイメージがまだつかめない方々が多い中で、突然途中の経過を抜きにして、結論を求めるようなものだ。けれども、実際には、それほど難しいことではなく、本来の軌道を保つためには、最初の段階で無理してでも張り切ってしまったほうがよいのだと思っているのだが、大方の賛成を得られるのか保証の限りではない。

とにかく、今年のスタートの幕が切って落とされた。この過程は、スポーツ選手、たとえば野球選手のシーズンに入ってくる準備と同じ性格を持っていて、開幕までに基礎体力を蓄積し、技を磨き、計画怠りなくメニューをこなした人だけが、みごと論文を仕上げるに至る、ということがほぼ言える。論文という、蓄積がものを言Photo_2 う表現形態の特徴ではないだろうか。興味深く、楽しい論文課題が並んでいる。また、1年間面白い議論ができそうである。

帰りは、いつもの公園を通る通勤路を歩いた。緑のトンネルが、夜はいっそう幻想的に見える。はじめて覚えた童謡が、「森の木陰で ドンジャラ ホイ」という歌であったために、森に入ると必ず心が浮いた気分になる。夜道も気にならない。

Photo_4 今日明日は、花見の最終日になるだろうといわれているので、夜空に白く輝く桜も、有終の美を飾ったというところだろうか。黒い夜空が、白い花で照らされて、青色に染まっていた。

Photo_5 家の近くの一本だけ残った桜も、街灯に照らされて、最後の花を広げていた。花見をしていたら、今日はコーヒーを飲みに、喫茶店に立ち寄るのを止めてもよいなという気分になった。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。