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2010/01/13

放送大学叢書

放送大学叢書が発刊されて、もうすぐ1年になる。これまで7冊が左右社から発行されている。新聞の書評などで取り上げられたものもあり、評判を取ってきている。

最初の企画では、当時図書館長だったK先生が関わっていて、その助走速度があった。このため、その勢いがずっと続いてきている。わたしもこの叢書をプロモートする委員会に所属しているが、この勢いを感じている。

文化というものの底力というものがあるとすれば、それは丹念に練り上げられ、静かに貯蔵されて寝かされたものが、はじめて得る力であり、けっして一朝一夕では成し遂げることはできないような力が働いているのだといえよう。

熟成の極地を示す言葉で、「何も足さない、何も引かない」というサントリーの名コピーがあるが、しかし、開発段階を含めて、この段階にいたるまでには、「すべてを足し、すべてを引く」覚悟で試行錯誤が行われた後に、ようやく何も足さない段階に近づくのだと思われる。

この意味では、放送大学の「樽」のなかには、すべてを足し続けて熟成されたテキストがたくさんあるように思われる。すでに絶版になってしまったもののなかで、いくつかのものは、現在まったく手に入らない。

もし放送大学のなかに継続性ということを探るならば、これらの作り続けられてきたテキストの伝統の中にあるのではないかと思われる。もっとも、テキストだけにこの伝統が生かされるのではなく、もっと広がりをもつことも可能ではないかという思いは、以前からすでに、たとえば退任なさったH先生も主張なさっていた。

だから、昔評判の良かったテキストの復刊は、放送大学の文化なのだと思われる。放送大学らしさの粋が集まっていると考えられる。それも単なる復刊ではなく、現代に合わせて作り直されて出てくるのだから、きわめて伝統的かつ現代的な企画なのだと思われる。

じつは、早稲田大学O先生の3日前のブログで、放送大学からテキストの復刊、つまりは叢書執筆の依頼があったとのことが語られていて、「さて、どうしたものか」としている。O先生のテキストは、当時受講者数も多く、評判の良いテキストだったので、現代バージョンを世に出す意味は十分あると思われる。それに、主観をつかんで離さない独特の文体は、この叢書に絶対合うと思う。ぜひ引き受けてくださったらいいな、と思っている。

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コメント

以前に「ユートピア」について書いていましたね。『ナパヤ 現代のユートピア』長森あきな著ーーーは、なかなか面白い本ですよ(出だしを我慢して、第2部まで読み進められれば)。読んでみては?

 こんにちは。前に読書会でお世話になった学生の者です。こちらにコメントを寄せるのは数年ぶりになります。
 たしかに本学の印刷教材は各分野のえらい先生が丹精して書かれたものであるだけに、放送授業が済んだ後、図書館でしか見られなくなるのはもったいないことだと思っておりました。これまでもすばらしい印刷教材は閉講後に講談社学術文庫で出たり、中公新書で出たり、岩波テキスト・ブックスで出たり、農産漁村文化協会から出たり、勁草書房から出たりしていましたけれども、本学の名前を付した上で叢書として出されるとなると、ついどれもそろえたくなってきます(笑)。
 この度の記事を拝見していまして、かつて本学で学んだ「ライフコース論」のことを思い出しました。あの科目の印刷教材なども叢書の一つとして出されたらうれしいなと思います。
 そろそろ次の学期に受ける科目を考えねばならない時期になってきました。このところ語学が楽しくて仕方ありませんので、次はスペイン語に挑んでみようかなと考えております。

槙様

コメントをありがとうございました。このような応援のコメントがあると、叢書執筆候補者の方へ勧めやすくなります。
さて、かの地での生活はいかがでしょうか。ご迷惑でなければ、そのうち足を伸ばして、ぜひ訪れたいと考えております。
お元気でお過ごしください。

M.Sakai

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。