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2009/12/19

雪の中の講義

Photo 朝、目を覚ますと、外は雪。積もるまでには至らなかったが、宿泊所を出て、宮城学習センターへつく頃には、外套に雪がかなり付着していて、手で払うほどだった。写真では、垣根の雪しか見えないが、実際には吹雪までとは行かないが横殴りの雪が降っていた。地元のひとに聞いても、本格的な雪は今年初めてだとのことだった。

講義室は40人定員の部屋で、おかげさまで満員だった。風邪をひいた方から連絡があったりして、欠席は4人。これまでに数回、仙台では違うテーマで講義をしていて、そのときやはり出席なさっていた人びとの顔もみることができてうれしかった。

今回は、ことし1年面接授業のテーマとして掲げてきた「魚市場」をめぐる問題についてだ。ベスター著『築地』を題材にしてきた。今回で、このテーマは最終ということになる。講義を進めて、切れのよいところで顔を上げて、時計をみると、いつもちょうど休憩時間に当たっているのだ。1年間ずっと講義してきたので、時間感覚が身についてきているのだと思われる。

Photo_2 昼は1時間たっぷりあるので、前回O先生と一緒に行った、学習センター裏の道を隔てたビルの地階にある「カフェ・モーツァルト」へ。まだ、開店時間ではなかったが、人気のない席を占める。ピアノの調律師が入っていて、素敵な音を響かせていた。コンサートでも近々あるのだろうか。

鶏肉のサンドウィッチが美味しいのだが、パンがインドのナンのような素材でできていて、肉厚でやわらかい。コーヒーは苦味系。二杯いただく。庭に面していて、その下は50メートルほどの絶壁になっていて、広瀬川に通じている。庭の雪が新しい。

Photo_3 講義はとんとんと進み、明日のための宿題を出して、定刻17時15分に終了。体力があるときには、1日5時間程度なので、集中するにはちょうど良い時間だ。聞く側の学生の集中力を保つ工夫が必要で、通常の一方的な講義形式だけでは、5時間という時間はかなり厳しい。今回は、風邪気味の方が数名いらっしゃって、顔を真っ赤にしたりしきりに寒いとおっしゃったりしていたので、居眠りする人が出るのではないかと心配したが、それも杞憂に終わった。質問も気の利いたものが多く、出席者との対話を楽しむことができた。

講義のあと、身体の熱さを覚まそうと、歩いて5分くらいのところにある老舗の喫茶店「わでぃはるふぁ」で、ストロング・ブレンドを飲む。「軽い苦味」とメニューに書いてあった。感触がよくて、さらっとした感じだ。苦味というと、典型的にはトルコ・コーヒーのようなどろっとしたものを想像するのだが、この粘りがない。また、酸味もまったくない。乾燥した苦味、砂漠の砂で浄化したコーヒー、といった感触で、独特の境地を開拓していると感じた。

店主に近くの地元のレストランを紹介してもらう。方向だけ確かめて、歩いたのだが、なかなか見えてこない。幸い交番があって、若く目がきらきらした巡査が電話で道を聞いて、教えてくださったので、すぐ到達することができた。この寒さのなか、外での消耗は避けたい。カニオムライスが特色の店だそうで、トマトスープとサラダがついてきた。食べ終わってから、カニはわたしの好物ではなかったことを思い出すほど、美味しかった。

ご主人が横浜の上大岡に住んでいたことがあったそうで、そこで水餃子の「スープ」がたいへん美味しい店があったと、昔話を披露してくださった。言葉で記憶するのではなく、プロは味で記憶を集積するのだ。その味が、このカニオムライスにも効いているのかもしれない。

Photo_5 またもや、ご主人がちょっと散歩なさってはいかが、などというものだから、中心地の定禅寺どおりへ出て、「光のページェント」を見物する。杜の都を強調する催しで、たくさんの人びとをひきつけていた。足元が今日の雪でつるつるに凍っていて、スケートで巡りたいほどだった。

Photo_7 ここまで来たからにはというので、横丁をはいって、以前にもきたことのある、ジャズ喫茶カウントで沈思黙考する。歓迎の意味か、ちょうどコルトレーンのバラードがかかって、講義の熱をさらに冷ましてくれた。もう一枚、サックスとトロンボーンの掛け合いの曲も素晴らしかった。明日に備えるために、早目に宿泊所へ戻って、そこのコーヒーを一杯。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。