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2009/12/16

公共の敵

現代のピカレスク・ロマンの可能性をねらっていると思われる、J.デップ主演の映画「パブリック・エネミーズ」を観てきた。

直訳してしまうと、公共の敵ということになってしまって、映画の正確な意味を伝えることができなくなってしまう。

銀行ギャングなのだから、まぎれもなく社会の敵なのだが、じつは欧米には、公共の敵が大衆から愛されるパターンが「伝統的」に存在する。

公共の敵でありながら、社会から愛される理由はどこにあるのか、というのが、この映画のひとつのテーマなのだ。

もちろん、ロビンフッドなどの時の政府に反抗するという要素は不可欠だが、もうひとつは、個人生活の普遍的なあり方は、ピカレスクの必須条件だ。妻の獲得から、最後の接近まで、異常なまでの愛の追求は圧倒的だ。

もうひとつは、悪代官との対決であり、相手にとって不足ないFBI捜査官パーヴィスの存在は欠かせない。デリンジャーとの対話で、眠れないのは、死への恐怖か、という問いかけに対して、デリンジャーは「コーヒーさ」と言ってのけるところが面白い。デリンジャーを片付けることになって、表面上は勝者となったパーヴィスが、最後には自殺する運命にあるというのも、皮肉な結末だ。

公共というものは、「バイバイ」するに十分価値のあるものだというところがたいへん面白かった。けれども、社会からは、決して「バイバイ」することはできないのだ。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。