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2009/11/27

観光を斜めに横切る

この時期、京都に来るのであれば、ほかの観光客といかに会わずに、しかしながら、自分の観光を行うのか、ということに尽きる。

京都の中心部の魅力は、1街区歩くと、必ず特徴ある良い喫茶店があって、観光の休憩所としても有効に使われている点だと思う。京都の喫茶店の質が高いのも、もちろん学生街であるからだということもあるが、観光客によって利用されていることもあるだろう。

朝、ホテル近くにある三条のイノダコーヒーへ朝食を取りに行く。7時開店で、いつもは常連客がゆったりと新聞を1時間くらいかけて読み、そして名物の砂糖・クリーム入りのモカ系コーヒーを啜っているだけなので、油断していたら、この時期は満員なのだ。朝、ホテルの食事であわただしく取るよりも、こちらのほうが良いと、わたしを含めた観光客は考えるらしい。

一緒に待っていた家族連れがあり、5歳くらいの女の子が絵を描いていた。ちょうど、わたしの娘がこれくらいのころ、京都観光に連れてきて、午前中ずっとこのコーヒー屋にいたことを思い出した。

別棟の静かな席がちょうど空いたので、つい長居をして、旅行に持ってきた校正原稿に目を通すことができた。けれども、幸か不幸か、電車の中ならば見過ごすようなところだったのが、じっくりと見ることになったために、結局原稿校正は終了できなかった。その間にも、観光客はひっきりなしに訪れて、通り過ぎていく。

ひとつ仕事を行ったことで満足して、お昼は前回やはり満員で入ることの出来なかった、寺町のS喫茶店へ入る。ここは2階のランチが有名なのだが、まだお腹は空いていなかったので、1階の喫茶席で、コーヒーを1杯。ここは客席にむき出しで、焙煎器が置いてあり、さらに年配のご主人が焙煎作業を行いながら、客の接待も行っている。気配りを行いつつ、これだけのマルチの作業をこなすには、相当の訓練が必要だと思われるが、自然の流れを作り出している。見習うべき生活習慣だ。

午後、山科から京阪線に入って、膳所にある大津市生涯学習センターへ向かう。目の前に、紅葉の美しい城址公園があり、その向こうに琵琶湖が広がり、薄ぼんやりと比叡山を望む絶景の場所である。今は、陸続きになってしまっているが、その昔の膳所城は、琵琶湖のなかの出城で陸から隔てられていたそうだ。

幸い、ウィークデイの日中にもかかわらず、わたしの話を聞きにきてくださった方が考えていたより大勢いらっしゃって、話甲斐があった。大津市の「おおつ熟年大学」という、よく練られた企画と、滋賀学習センターの周到な準備の賜物だと思われる。関係者の方々に感謝申し上げる次第である。講演内容は、金融危機と格差社会との関係を展望したものだが、今日的なテーマなので、質問も根本的なものが出て、たのしく対話できたと思う。

帰りに、滋賀学習センター所長のS先生がびわ湖畔を案内してくださった。湖畔際に、喫茶店が4軒集めて建てられたところで、コーヒーをご馳走になった。ジョギング・コースが目の前を通っていて、ちょっと疲れたら、ここに寄って休んで行くらしい。

原稿を抱えて滞在するには、もっとも適している場所だと思った。けれども、いづれの湖畔のホテルも、この時期は満室で、駄目だそうだ。観光客を斜めに見ながら、いずれ資金をためて再来したいと念じつつ、大津を後にした。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。