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2009/11/06

「一瞬も一生も美しい」という共通感覚

Photo_4 約束の時間まで、1時間以上あったので、花椿通りからすこし行った昭和通り沿いにある喫茶室「ウエスト」に入る。ちょうど、ハープシコードで「平均律クラーヴィア曲集」が流れていた。

学生時代のアルバイト先に、芸大や東工大の友人がいて、銀座に出る機会があると連れてきてもらっていた。今日のように、男一人で堂々と入ることが出来るようになったのは、老年に達したという証かもしれない。白いテーブルクロスや白い壁はちょっとまぶしいが、銀座で落ち着いて一息つくには、とても良い空間を保っていると思う。

Photo_2 今日は、資生堂宣伝制作部のYさんへ取材を申し込んであり、ここまで準備にかなりの時間をかけてきた。それほど、今回のインタヴューには、期待できるという予感があった。

銀座には、資生堂ビルがいくつかあって、今回はその中で、本社ビルにある「ハウス・オブ・シセイドウ」でビデオ収録が行われた。ここはギャラリーになっていて、資生堂の創業時からの商品や広告の主だったものが展示されていて、見学者が後を絶たない。通常は会社帰りのサラリーマン・ウーマン風のひとが一人で見ているが、ときには外国から少人数の団体客もきている。ちょうど、今日も大きなテーブルで、中国からのグループが説明を聞いていた。

期待どおり、インタビューの話の内容はたいへん興味深いものだった。おそらく、広告会社以外では日本で唯一、会社内にすべての広告部門のデザイナーを抱えている会社ではないかと思われる。80名のデザイナーを抱えているそうだ。いわゆる、インハウスデザインを展開して、90年以上が経っている。

Photo_5 話は広告美術についてであるのだが、このような資生堂スタイルを形成するに至った経緯から、さらになぜインハウス方式をとるのか、というたいへん面白く奥深い話をたっぷりと伺ってきた。来年の4月には、ぜひご覧いただければ、とここで宣伝しておきたい。

もちろん、創業時の新聞広告、初期のヒット作オイデルミンから始まって、唐草ポスター、前田美波里のビューティケークポスター、「ゆれるまなざし」ポスター・・・という資生堂ポスターがたくさん出てくる。Yさんの作品も特別に取り上げていただいて、詳細な解説がご本人から聞ける。

結局、45分番組にもかかわらず、いつものように、その倍以上のビデオを収録させていただいた。半分に縮めるのは、ちょっと無理かもしれないな。

Photo_6 今日のインタビュー取材が終わって、放送大学に勤めていて良かったな、とほんとうに思った。わたしのしゃべる部分をカットしてでも、今日の話をたっぷりと入れて、授業番組を作りたいと思った。制作のみなさん、よろしくお願いします。

ソニービル前へ出ると、自分の感覚が急に現実に戻ってきて、周りをぐるっと見回す余裕ができた。すっかり暗くなった銀座の街のネオンが眩しかった。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。