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2009/08/22

ビジネスと家族

中学時代に、ビートルズやローリングストーンズを日常の音楽として聴いて育った。だから、彼らの音楽はオリジナルな音楽だとずっと思い込んでいた。ところが、ビートルズが英国にブルース奏者を招いたり、映画「バックツウ・ザ・フューチャー」などに、チャック・ベリーが出てきたりして、そのルーツが次第にわかってくると、それじゃあの歌はどこから出てきたんだということになる。

伝説のチェス・レコードを描いた映画「キャデラック・レコード」を観てきた。ロックンロールという言葉が、このレコード・カンパニーから生まれたのを知った。

三つのビジネス形態が問題になっている。一つ目は映画の主人公であるレナード・チェスとマディ・ウォーターズのパートナーシップ型。ここでは、友情関係とビジネスがどのような関係にあるのかが描かれている。

二つ目は個人とバンドと会社との関係であり、バンド型という考え方が面白かった。とくに、ハウリン・ウルフは興味深い役どころだ。三つ目は、もっとも普遍的ではあるが、家族がビジネスにかかわる形態だ。恋愛関係が直接ビジネス関係になったり、会社自体がファミリーだという考え方であったりする考え方だ。

結局のところ、ビジネスというゆるい関係を必須とする関係に、強い紐帯である家族関係を持ち込むために、関係は崩れていくことになる。

映画の中では、曲がヒットすると、自動車のキャデラックがもらえるという仕組みが描かれていた。これは、ずいぶんアメリカ的なエピソードに見えるが、その内容は、キャデラック的ではなかった。最後は、利益分配をめぐって、分裂することになるが、ほんとうの壊れていく理由はビジネスではなく、もう一つの絆のほうに問題があったからなのだ。

ビジネスが、もう一つ別の絆によって維持されている、という企業論の基本が、音楽ビジネスでも現れていて、面白かった。学生時代から不思議に思っていたことがある。それは、音楽系の人びとは、あっという間に結びつく、ということだ。「始まりは、ひとを驚かす意外性である」といった哲学者もいたが、まさにそんな感じだ。

それが何故だか、ようやく解った。「始まり」はビジネスとしてではなく、もうひとつの絆のほうで始まっていたのだ。だから、ビジネスは後追いで生じたにすぎない、ということだったのだ。「チェス・レコード」の始まりと終わりはそのことを如実に語っていると思われる。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。