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2009/08/12

流星群の夜

田圃のなかの夜道に出た。
何事もなく平穏そうな夜空が続いている。

雲のなかに、宝石たちがちりばめられ、都会の数倍の光が届いている。
首の回らない頭めがけて、小宇宙が降ってくる。

あの星は、ロンドンからNYへ。あの星はヨコハマからMMへ。
きっと誰かのメッセージを細かく刻んで運んでいるのだ。

昨日までの地震や乱れた天気は、人間社会の何かの予兆だと伝えている。
田舎の犬がこんなに増えたのも、たぶん人間社会の自信喪失の現われだ。

家の窓に、影がうろうろ映っている。
問題は家の中にあって、吼える相手は外にいないのだ。

外の世界は透明な夜にすっかり参っている。
内から解放された思い出だけが、漂って隙間から這い出ている。

もう少し時間がもらえるかもしれない。
夜の帽子はそっとささやいて、境界線を見守っている。

夜陰にまぎれて、今日まで溜まった息をすっと外へ吐き出した。
気が楽になってみると、真っ暗闇のなかに、裸の自分が立っていた。

遠くから迫ってくる自動車は、影を世界にずっと投影し続けている。
数分たってようやく、細長い予告編を見せながら通り過ぎて、何もなかったと言っている。

酔っ払いが自転車で通り過ぎても、田圃の夜道では、ぴかぴかするばかりだ。
影のない者を見つけて、星たちが仲間と勘違いし、寄り道を企てている。

雲は社交的な星たちをほのかに隠しているし、流星群はまだ接近する気配がない。
でも、夜空の銀幕は、雲を破って予想以上の世界をずっと映し続けている。

信州にて

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