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2009/06/29

疲れは、風と舞う

Photo 弘前からの移動の疲れが出てきたので、K大の講義が終了すると、東神奈川へ徒歩で出て、JR根岸線で桜木町へ。このコースは、これまであまり使ったことはなかったが、考えてみるに、運動不足解消にたいへん良い。帰り道としては、かなり楽しめる。

まだ、日が昇っているときに、野毛を歩くのは印象が違っていて、道の幅が広く感ずる。けれども、店に入ってしまえば、想念を羽ばたかせる闇が広がっているのだから、夜と同じことだ。

店の音楽も、客の状態を察してくれる。入るとすぐに、ゲーリー・バートンとチック・コリアの「クリスタル・サイレンス」がかかって、疲れが目からすっと抜けていくのがわかる。店の奥には、トイレに通ずる扉があって、看板と同じチェロかコントラバスの板が貼り付けられている。

Photo_2ここから、違った世界へ入っていくことを示している。トイレには、スティーブ・マックイーンの大脱走ポスターが飾ってあって、自由な気分もようやく極まってくる。

席にかえると、もう違う曲へ入ったところで、鐘の音がカーン、カーンと響く。と同時に、突風が巻き上がったような、空気が流れてきた。マッコイ・タイナーの「フライ・ウィズ・ザ・ウインド」の始まりだ。なぜまだリクエストしないのに、リクエスト曲がわかったのか、今でもなぞだ。

Photo_4 最後のコーヒーだけでも良かったのだが、曲に誘われて、いつもの黒ビールも注文する。結局、ノートを黒くしなければ、店を出ることはできないのだ。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。