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2008/11/30

散歩日和

081130_130001 午後には、学習センターで仕事が待っているので、今日のように散歩日和の日は、午前中に出かけることが必要だ。

日曜日に官庁・ビジネス街へ出ると、いつもと異なる日常が動いていて、世界のもう半分を見る思いだ。まず、駅のプラットフォームには、ベンチで詰め将棋を解いている人がいる。けれども、日曜日なのだから、会所へいけば、仲間がたくさんいるだろう。なぜこんな寒いところで、孤独な作業に没頭していなければならないだろうか。東京駅のホームレスと比べると、余裕の大いなる差が感じられた。

081130_101101 このような散歩のときには、横浜馬車道の「サンマルクカフェ」へ寄ることにしている。前にも書いたことがあるが、かつてはここは独立系のコーヒー屋さんだったのだが、チェーン店に統合されてしまったのだ。

今日、いつもは2,3人で運営している喫茶店が、店長ひとりでやりくりしているらしい。忙しく立ち回っている。見ていると、人数の効果というのは恐ろしいところがあると思われた。店長にとっては、客の人数は少ないにもかかわらず、ウィークデイよりも今日のほうが忙しいのではないだろうか。

小さな仕事が積み重ねられて、通常の仕事は成り立っており、それで大きな仕事ができるのだが、それがどんとまたひとりの人のところに降っておりると、その人はパンクしてしまう。多機能工的状況は、個人の中で、今日極端に進んでしまっているのだ。

081130_093101_2 いつも座るところがあって、これまでにも写真を数枚載せている。けれども、いつもはにぎわっているので、こんなにしっかりと写真を撮る余裕はない。とくに、電球のところが濃い緑色なのだが、写真で撮ると白く光ってしまう。とくに、これまで近くで撮っていたために、緑色では到底撮ることはできなかった。今回、少しだけ雰囲気が出せたのではないかと思われる。

ここの日曜日の喫茶店には、官庁街だと思わせる光景もある。普段着に身なりを変えた勤め人たちが、本を片手に、午前中に1冊読んでしまおう、と勇んでやってくる。

「後期資本主義」では、女性労働が当てにされているのだが、それが日曜日の喫茶店に現れているような気がする。喫茶店の男性客は、いかにも休日だという感じで、くつろいで長居する様子なのだ。ところが、女性客は、出勤前のちょっとした軽食を済ませている。だから、ほんの10分もすれば、皆席を立っていく。

081130_101301 散歩で馬車道から伊勢佐木町をぶらり歩く。1本裏道に歩くと、タイ料理の店と韓国料理の店が集中的に軒を連ねている。いつ頃から、このような様子になったのだろうか。

シネマJack&Bettyで、「いのちの作法」を観る。緒方拳特集もやっていたのだが、時間が合わなかった。それで入ったのだが、予想外に良かった。ドキュメンタリーということだったので、もうすこしドライな映画を期待していたのだが、意外にウェットだった。

岩手県西和賀町(旧沢内村)の話だが、現在の日本全体に共通するテーマである。昭和30年代に、豪雪・貧困・多病多死の三重苦を乗り越え、全国に先駆けて老人医療費の無償化と乳児死亡率ゼロを達成した村なのだそうだ。その後の現代の後継者たちの物語だ。

印象に残ったのは、「死」について、言葉でとらえようという運動を展開していることだ。これは素晴らしいと思った。哲学や宗教をかじった人だけしか考えないと思っていたが、ふつうの人にも有効だとのことだ。リーダーがお寺さん関係だということもあるが、それを超える動きがあるように思えた。

それから、成る程と感心したのは、これからの村はみんな過疎になるという事態を抱えているのだが、どのようにしたらこのような状況から抜け出せるか、という点だ。この村の人は、子どもで1杯にする運動を展開するのだ。どのようにして、子ども1杯にできるのかは、映画を観てのお楽しみに残しておくとして、単純に考えて、子どもの数を多くすることが、村の再生になるんだ、という考え方はシンプルで、しかも本質を突いている。それにしても、沢内村にはまだまだソーシャル・キャピタルが十分残されているらしい。

さらに、古い村の習慣にだけ頼るのでなく、あらたな村の再生事業を次から次へ仕掛けていることが、この村の再生につながっているようだ。ソーシャル・キャピタルを絶えず新しいものに作り変える工夫がなされている。

081130_123201 それにしても、後継者たちはドキュメンタリーであるにもかかわらず、いずれも役者並の「演技」を見せていて、もうすこし感情をセイブしたほうが良かったのでは、と思われたところもすくなくない。けれども、観客の90%の人たちは、60歳以上であり、彼らにはかなり受けていた。最後には、拍手がかなりあった。

帰りに、黄金町バザールを覗いてみた。京浜急行の線路下にスタジオが作られ、若者たちが展示や店を出しているという新しい場所だ。かつては、この辺は犯罪の巣のようなところだったのだが、再開発でずいぶんとイメージが変わった。

081130_130702 これだけ散歩をしても、まだお昼なのだ。晩秋たけなわでも緑色濃いわが谷(写真参照)に戻って、学習センターへ出かけた。家のそばには、古くから営業している旅館があって、そこがご覧のような森を維持しているのだ。この森を見上げると、ほっとするのだ。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。