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2008/10/28

木漏れ日のなかの訃報

大学からの帰り道に木々が被さっていて、ちょっと木漏れ日が揺れると、青空が見える。きれいだ。もうすこし待てば、色づいた枯葉が緑を凌駕するはずだ。

このように青空がきれいなときには、何かが起こる。大学から帰ってメールを開くと、今日の午後、同僚のK先生(音楽学)が亡くなったことを知った。闘病生活の間、生きることにもの凄い意欲を前よりもいっそう示していた。筆談というものの威力も、見せていただいた。

このような生き方もあるのだという、むしろこちらが元気付けられる場面もあるような最近だったので、たいへん残念な思いである。

思えば、かれが神奈川学習センターに登場したのは、当時音楽学の故柴田南雄先生がセンターの協力教員として来たときに、たいへん有望な若手の先生が見つかりました、と喜んで話されたときだった。それ以来、神奈川学習センターで、一緒に仕事をしてきた。

とくに、かれが神奈川にいて強烈な印象を与えた研究活動は、ペリーの黒船での音楽会や、横浜元町での米軍の音楽マーチなどの「発掘」調査だった。当時、どのような西洋音楽を横浜市民たちが聴いたのか、明確になったのだ。これは、研究分野の異なるわたしが聴いても、たいへん興味深いものだった。

わたしも幕末から明治にかけての情報産業論を研究していく中で、彼から教えられたペリーの天皇への奉納品(楽器と電信機)などは、たいへん参考になった。それから、かれが言い出して、A先生を通じて、わたしへ受け継がれた、地域文化施設との連携面接授業の試みは、だんだんネットワークの輪を広げつつある。

このように、神奈川、横浜と強く結びついた研究(ほかの研究は印刷教材や放送でも見ることができる)が、ペリーが横浜で日米修好条約を結んだ年から、150年目を前にして、結実しつつあるなかで、突然逝去されてしまったことは、たいへん残念なことである。神奈川学習センターなどの公開講演会などで、これらの内容をもっと披露していただきたかったところだ。

いずれ時がきたら、雲の上でまた聴かせていただくこともあるかもしれない。それまでの間、ひとまずのご冥福をお祈りいたしたい。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。