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2008/10/12

横浜で、しゃべって聴いて

これでまた、横浜を離れられなくなってしまった。と言っても、横浜を離れなければならないという話は、別にないのだけれども。

朝、仕事を行って、午後から、30分の距離にある横浜野毛山の図書館ホールで2時間しゃべらせてもらい、そのあと、坂を下って、野毛の街でJazzのライブを2時間弱聴いて、家にかえってまだまだ、夜に仕事をする時間がある。わたしにとってこんなに都合の良い都市は、横浜だけだ。

昨日今日は横浜にとっては、特別の日々で、一日中、街のジャズ喫茶、ライブハウス、あらゆるホールがジャズで埋め尽くされる。ヨコハマ・ジャズ・プロムナードの日である。約50会場で、327ステージが二日間で催されるそうだ。

この日に限って、どういう理由か、わたしの講義がいつも重なってしまう。昨年までは、この時期にちょうど学部・大学院ゼミナールが最終をむかえるために、なかなか街へ繰り出すことは難しかった。それに今回は、まともに野毛の図書館ホールで講演会なので、となりの街はジャズだらけなのに、このジャズとまともに競合することになった。

ジャズ・プロムナードと一緒の時間に、講演会というのも、たいへん光栄なことである。昨年とあわせて、この図書館ので講演会は2回目に当たる。昨年は「横浜とコーヒー」について、話をした。今年は、「横浜はいかに『情報』を受け入れてきたか?」と題して、明治期から昭和にかけての電信電話産業についてしゃべらせていただいた。

ペリーが和親条約のときに、最新の「電信機」を持ち込んで、通信実験を行ったのが横浜で、それ以来、日本で初めての電信所が置かれたのも横浜で、さらに電話の交換所が初めて置かれたのも横浜なのだ。

もちろん、今日は「始まり物語」を話すつもりは無かった。要点は、「ホットメディア」である電信と、「クールメディア」である電話の、産業としての特徴と、産業社会論での電信電話産業の位置づけを行ったということになった、と本人は勝手に考えているが、さてどのように聴いていただけただろうか。

野毛山の坂道を垂直に降りていくと、野毛の飲み屋街があり、その中にいつも行くジャズ喫茶の「ダウンビート」がある。駆けつけてみると、なんといつもの様子とは違って、階段まで人があふれている。満員だそうだ。ちょうどライブの休憩時間だったが、始まったら入るどころではないだろう。

ジャズ・プロムナードの良いところは、ボランティアが出て、入り口のところで整理して、混み具合の情報を与えてくださる点にある。お聞きすると、次の次の回に早めに来れば、大丈夫だという。それとも、近くの「にぎわい座」のホールでのコンサートならば、座れるのではないかという。関内や本牧などの有名店はまったく入れないと教えてくださった。

そうなると、あと2時間はどこかで時間をつぶさなければならない。仕方が無いので、桜木町から関内方面へ向かって、ぶらりぶらりと散歩することにする。途中にも、2,3軒のジャズ喫茶があるのだ。

野毛のはずれにある「Five Stars Records」を窓越しにみると、教えられたように、ドアまでぎっしりだ。でも、ミュージッシャンたちは外に出ていて、休憩時間らしい。プロムナードの係りの方に聞くと、もう2,3人の立ち見は可能だという。実際入ってみると、入り口ドア横の寄りかかれる場所が空いている。これ幸いと、スコッチの水割りをもらって、そこに陣取ることにする。ラッキーだった。

谷口英治(cl)岡田嘉満(ts) 袴塚淳(p)ジャンボ小野(b)のカルテットで、わたしも知っているような、「ブルーモンク」や「Aトレイン」などをテーマにした、インプロビゼイションを展開した。素人のわたしが聴いても、熟練しているなという方々で、楽しい演奏だった。とくに、ダイアローグの演奏部分は、互いの試みを読みながらの展開だったので、スリルがあって面白かった。

その店は、20人ほどしか入らないところだったので、親密な雰囲気に恵まれて、ノリの程度は良いし、しゃべった後の喉の渇きに、ウィスキーがちょうどあっていたらしく、たいへん心地よい時間を過ごすことができた。仕事の帰りに、ほんの1時間ほど、カルテットを聴いて帰れるなんて、思ってもみなかった。

このように小さな店で、同じ音楽を聴くことには、おそらく何らかの集団効果が作用しているように考えられる。店全体の客が、同じゆれを感じ、頭の中も同じメロディーやリズムが吹き抜けている。

家に帰ってから、今日最後のコーヒー。先日甲府のロッシュから豆で購入してきたマイルド・ブレンド。二杯目には、娘がスターバックスから買ってきたバニラ・シロップを入れて飲む。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。