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2008/09/27

アイス・モナカ

先日観た映画「おくりびと」のなかで、俳優の笹野高史演じる銭湯の客が、風呂から出た後、美味しそうに壜牛乳を飲むシーンがあって、銭湯の着替え場のコミュニティの雰囲気を出すのに、一役買っている。これは銭湯に通った人でないとわからない美味しさだろう。

今は冷蔵庫がふつうだが、やはり凝るならば、井戸の冷たい水のかけ流しで冷やした牛乳にしたもらいたかった。

銭湯の牛乳と並んで、夏のアイス・モナカも格別な味だと思う。これは都会に来てから知った味だ。やはり、すこし成人になってから、冷凍技術の発達がこのアイス・モナカを流行らせたのだと思われる。あのパリっとしたウェハースの歯ざわりは、相当高級な冷凍施設と、製造したその日に食べられる、という条件が無ければ、不可能だ。

ときどき2日たったものが売られているが、ウェハースに湿気がかぶってしまい、今日の冷凍技術を以ってしても、限界のあることが知らされる。クネっとしたまとわりつくウェハースは、すでにアイスクリームに取り込まれてしまっている。

アイス・モナカの開いた味の世界は、なんといっても、二つの異なる世界を同時に合わせたところにある。パリとした世界と、マッタリしたクリームの世界が相乗効果を及ぼすところがよいと思われる。

なぜアイス・モナカなのかといえば、現在8月から10月まで、神奈川学習センターでは、トイレの改装工事を行っていて、全トイレが使用不可の状態であって、このため、もちろん構内には簡易トイレが設置されてはいるものの、向かいにある「大岡健康プラザ」のご厄介になっていて、そのホールに、じつはアイス・モナカの自動販売機が設置されている、というしだいなのだ。この自動販売機には、温度表示が設置されていて、常時マイナス24度が保たれている。

この誘惑には、強いものがある。他の人びとはどうか知らないが、ちょうどトイレに行く時間が、15時くらいに重なってきて、甘いものが欲しくなる時間に当たっている。

原稿を書いていて、リラックスする飲食物は、なんといっても酒だが、勤務中に飲むわけに行かない。けれども、頭ががちがちになり、肩が凝ってくると、当然コーヒーということになるが、近くにはあまり良い喫茶店がないのだ。ちょっと休憩に関内、桜木町へ行ってくるということも考えられるが、それは気分が乗ったときに限られる。

そして、現在は断然、アイス・モナカということになったのだ。親戚の系統をみると、代々甘党と辛党の両刀使いだったらしい。隣のジムや体育館では、みんな汗を流して、ダイエットに励んでいるが、こちらはすっかり脱ダイエット路線を歩んでいるしだいである。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。