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2008/06/10

梅雨の晴れ間

梅雨の晴れ間である。天気は、気分を生み出すという比喩はとても良くできていると思う。ちょうど、この時期の晴れ間に映し出される風景は、過去の思い出や、ちょっとした日常の記憶を保存していることがあるのだ。

もう4年以上になるが、国立印刷局の方々と一緒に制作してきたプロジェクトに、ちょっとだけ「晴れ間」がのぞきだした。こんなにすこし抜けたような気分は、以前にはあったような気もするが、久しぶりのことである。きょうは、その報告を兼ねて、虎ノ門に出かけた。

これまでいくつかの壁があって、なかなかこれらの成果を表に現すことができずにいた。せっかく研究が成就しても、いろいろな事情が重なると、ずいぶんと遠回りをすることになる。研究でも隣にいる人に、ちょっと見せるくらいならば問題にならなくとも、いざ多くの方々に見てもらうとなると、手続きやら、ルールやらをあらかじめ設けなければならなくなってくる。

でも、このような苦労をくぐる抜けることが、ときには重要である。数多くの作業を行ってきてくださった方々には申し訳なかったが、もう少しで梅雨も明けるのではないかと考えている。

今年度もいくつかのアイディアがあり、打ち合わせのなかで可能かどうか探っていただくことにした。アイディアといっても、いつも同じところをぐるぐると回っているだけのようにも思える。けれども、実際に作っていただき、形になって現れてくると、ぐるぐると同じことを繰り返していたときと異なって現れてくるから、不思議である。

これまでの反省として言える事があって、サッカーで、最後は球を蹴り切って、シュートで終わらなければ、そのあとが辛いように、研究もある程度までは、自己満足で終わっていてもよいが、やはり最後は公表しないとプロジェクト全体に対して、申し訳ないことになってしまうということがある。何とか、今回は最後まで成就させたいと考えている。ここで、もう一押しの努力が必要だ。

Jazz相談は順調に終わったので、銀座方向に歩く。新橋の駅からガードを超えて、線路沿いに歩くと、並木が連なっていて、洒落た小さな商店や食堂が並ぶ一角に出る。この道を泰明小学校に突き当たるまで、散歩する。最後のコーナーにはバーや喫茶店が軒並みを連ねているところに出る。

この裏道へすこし入ったところに、ジャズ喫茶「Jazz Country」があって、以前から来てみたいと思っていた。やはりこれも、梅雨の晴れ間がなせるわざなのだろうか。ピアノトリオのキンキンという音が良く鳴っていて、しばし黙考する時間に当てることにする。ほんの三畳ほどの小さな喫茶店なのだが、その想像上広がる空間は、その100倍以上あるのではないだろうか。暗いジャズ喫茶に籠りたいと考えるのも、外に晴れ間が広がっているからに相違ない。

Sansin 帰り道だったので、有楽町の映画館街を歩いた。以前見に来たあの美しい「三信ビル」がとり壊されていて、ぽっかりと穴が開いていた。この足りない空間を見ていると、街が活性を失う理由が、はっきり見えるような気がする。もしそれを取り戻すとしても、おそらく何十年の年月を必要とするだろうな、と感じた。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。