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2008/06/27

喫茶店の条件

東京から仙台までは、1時間40分で来てしまう。名古屋と同じくらいのはずなのだが、もっと遠くへきた気分である。損をしたというのか、得をしたというのか、時間の余裕ができた分だけ、得をしたと積極的に考えたい。もっと仙台を楽しめ、という天の声なのだろう。

面接授業のため、O先生が呼んでくださった。講義は明日の朝からなのだが、列車が遅れたり予定が狂ったりすることもありうるので、前日に仙台入りをすることにした。

もうひとつ、じつは目的があった。来年度に制作が計画されている講義のために、余裕がある今のうちにロケハンを行って、取材地をすこし幅広く集めておきたいと思ったのだ。

Sn3b00481 お目当ては「芹沢銈介美術工芸館」で、東北福祉大学のなかにある。長男の芹沢長介氏が考古学の先生だったので、さまざまな工芸品とともに、銈介の収集品を展示している。

工芸館の1階では、東北の19世紀ごろの焼き物を集めた展示を行っていて、切込(きりごめ)焼の素晴らしい磁器と出会うことができた。切込焼にもいくつかの系譜があるらしいが、たっぷりとした首ながの大徳利の系譜と、緑とブルーの二彩あるいは三彩の系譜が素敵だった。(ここでは、大徳利の写真が得られなかったので、きれいな徳利の写真を掲げておきたい。)

http://www.town.kami.miyagi.jp/kanko/images/stories/08_images/8_07.jpg

前者は、おそらく江戸時代の伊達藩御用窯として制作されたものだと思われる染付磁器で、何となく気品がある。後者の二彩・三彩は、近世には珍しい大柄のデザインの陶器で、使いやすそうな器だ。決して奇を衒ったものではなく、土瓶などもあり、系統的に作られている。間違っているかもしれないが、後の益子焼に受け継がれている模様に似ている。

http://www.mumyosha.co.jp/guide/hakubutu/miyagi/touji5.JPG

今回の展示では、銈介の展示はきわめて少なかったが、そのなかでも、「茄子の型絵」は、良かった。生活のなかの美とは何か、と問われるならば、生活とは離れずに、なおかつそこから、日常とは異なる美を掬い取っているものだと言えるかもしれない。生活に付かず離れずするときに、生活美が生まれるのだ。

Sn3b00461「茄子の型絵」は、型絵特有のシンプルさと、筆では描くことのできない線の強さとを表している。紺色とエンジ色の対称性は、地味ではあるが、存在を際立たせていた。茄子二つまでは、バランスが良いと思ったのだが、気になったのは、二個目の陰になった三個目の茄子だ。何のために、ここに配置されているのかわからなかった。生活には、このようにすっきりしない部分が必ず存在するということが言いたかったのだろうか。

観覧が意外に長くなってしまったので、工芸館に併設されている喫茶「可否館」で、仙台を一望の下に収めながらちょっと一服。「ヴォリュート」と名付けられて、マイルド・ブレンドを頼んだ。

Sn3b00491行きは仙山線の電車できたので、帰りは窓から望んだ道に沿って、市内までバスで下ることにする。定禅寺通りには、仙台屈指の喫茶店「カフェ・ド・ギャルソン」があって、噂に違わず美味しかった。店のつくりが喫茶店というものの性質をよくわかって作っているなあと思わせる。会話がしやすく、個別に分かれていて、されど孤立しているわけではない配置だ。サービスもとても良い。みんなが、一番にこの店を挙げる理由がよくわかる。今日最後のコーヒーは、やはりマイルド・ブレンドを頼んだ。Sn3b00501

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。