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2008/05/31

喫茶店のネットワーク

岡山学習センターでは、「金融社会」について講義をすることになっていた。去年から放送授業の「消費者と証券投資」を担当しているというので、呼んでくださったのだ。

これまでにも、消費社会のなかでの金融現象や、放送授業「変動する社会と暮らし」のなかでも、日本社会の金融化やリスク現象について担当してきており、今回の講義で、これまで考察できなかったことも含めて発展させたいと考えていたところであったので、すぐに要請に応じた。

この辺を一気にまとめるには、まだまだ力不足で認識の足りないところは多いが、一度全体をしゃべらせていただければ、今後の勉強にもプラスになるし、また学生の方にとっても、議論の種となってよいだろうと考えたのだ。

面接授業の良い点は、もちろんこのように議論できるところであるが、それで学生の方の関心を惹き起こす同時に、講師の側の足りないところもあらわになるという利点もある。これを欠点ととらえるのか、それとも利点ととらえるのかで、クラスの開放度を測ることができるかもしれない。

講義のなかでこちらからの質問に答えていただくために、二度ほど学生に用紙を配って、自分の金融事情について書いていただいた。それを観ながら、質問をして当てていくと、放送大学の学生の方には、さまざまな金融的事情があり、資金運用を行っていることがわかるのだ。

ある方は、定年を迎えて退職金の運用をもうすこし利益の上がるものに変えようと考えているということだ。またある方は、株式から投資信託へ移して、すこし損失を出したらしい。証券会社の方々との応対の話もでたし、さらに、自分で30年前から利子確定の債券中心の運用を行っていて、変えたことがないとおっしゃる堅実な方もいらっしゃった。放送大学の特色が良く出た授業となった。つまり、経験を事例として取り込んで議論できるというクラスとなった。

このようにして、今回も質問の多いクラスとなった。きょうは、10時に始まって18時までだったが、最後には、Wさんがいらっしゃって、以前にわたしが書いた分厚い印刷教材を取り出され、サインを求められた。たいへんな光栄である。夥しい付箋が付けられており、こんなに読み込んでいただける仕合せな教科書はほかにあるだろうか、と感じた。

まだ、陽が高かったので、駅まで散歩がてら歩き、高島屋裏にある珈琲専門店「折り鶴」にて、モカを薄く淹れてもらった。コーヒーの覚醒作用が放心状態の身体全体に染渡った。

帰りに、店主が話しかけてきた。ちょっと濃かったのではないですか、という。深煎りの味でしたね、と答えると、地図を取り出してきて、じつは岡山市内のここに、浅煎りで軽さを追求している喫茶店があるんですよ、ぜひ行ってくださいという。地図には、丸く青いシールが貼ってある。柳川駅の近くだそうだ。

これには、驚いた。わたしの以前書いたコーヒー論では、ネットワーク消費が日本人のコーヒー消費を増加させた、という仮説で論じていて、過去のコーヒーチェーンの話を取り上げている。けれども、今日出会った現実は、それを超えている。つまり、チェーンではなく、独立した専門店が互いにネットワークを組んで、客を回しているのだ。これはたいへん素晴らしい試みだと思われる。競争より協力ということを、岡山ではいつ誰が気付いたのだろうか。

思い返してみれば、昨日のカフェ・カーネスにも、他の喫茶店の宣伝チラシが置いてあったことを思い出した。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。