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2008/04/04

道修町論文

出張から帰ってきたら、Kさんから論文が送られてきていた。先日ここでも取り上げた「道修町に関する論文」である。博士論文のなかに入れたものを、そこだけ取り出して独立の論文にして、K大の雑誌に掲載したらしい。

先日わたしが散歩したのは、主として道修町の西側のほうで、彼女が取り上げている道修町は、もっと東にあるほうだったことがわかった。うろ覚えで街を歩いたため、肝心なところを見落としたらしい。

とくに、この論文で取り上げられている少彦名神社まで到達できなかったのは、悔やまれる。今度、大阪へ行ったときには、すこし足を伸ばしてみようと思う。

それにしても、80歳になる方が、30ページに及ぶ大論文を年間いくつも仕上げるのは、驚異的である。いつも身体のどこかを悪くしながらも、最後は仕上げてしまうのは、それなりの習慣が身についているからだろう。毎日少しずつ仕上げる癖が大事だと思われる。

今回の論文での山場は、なぜ少彦名神を勧請したのか、といったことの論証である。道修町で神を祭る必然性が存在したことを突き止めたことであろう。薬の株仲間間の取引が衰退し、祈願して団結を図る必要性があったらしい。詳しいことは、論文をご覧になっていただきたい。

いずれにしても、手際の良い処理がされており、相変わらずのペースを続けていることがわかる、堅実な論文である。少しずつの積み重ねが最後は、決定的な事実を突き止めてしまっているのだ。

3月になって、目の具合が悪く、手術したらしいが、そんなことを感じさせない筆運びだ。フランスの人類学者レヴィ・ブリュルが「融即の原理」ということをいって、未開社会のなかに、動物と同一視する集団現象のあることを指摘したことがある。Kさんはもし動物にたとえるならば、ミネルヴァにでもなった状態で暮らしているのではないだろうか。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。