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2008/04/09

『日常生活の社会学』

一番はじめの授業で、なにを話すか、というのは、わたしにとっては毎年たいへん悩ましい問題である。ひとつの話で、この1年間が決まってしまう場合もある。そのくらい、受講生が抱く「授業全体のイメージ形成」というのはたいへん重要である。

きょう、早稲田大学のO先生から、早稲田社会学ブックレットシリーズの『日常生活の社会学』学文社が送られてきた。シリーズの「はじめの1歩」として、きわめて適切であると同時に、学生が学ぶ「はじめの1歩」としても、たいへん妥当な本である。

100ページほどの小冊子だが、社会学という学問の柔らかいプヨプヨとした感じや、複雑でゴチゴチした様子が良く出ている。プヨプヨ感は、「家族の寝方」のところかな。ゴチゴチ感は、社会の構造のところかな。

授業が始まる前に、学生にかならず読んでおく本として、進めたい1冊である。学生が授業に出てくるときに、なにかプヨプヨでも良いが、ヴィジョンのようなものを持っているか否かで、講義の身につき方が格段に違ってくる。このヴィジョンのようなものは、その後の授業で変わるかもしれないから、きわめてソフトなものが良いのだ。

社会学とは、何か。「人びとの相互作用の背後に存在する暗黙の法則」を研究する学問である、という明確な画定が素晴らしいと思う。妥協せずに、しかも簡単に言い切っていて、うらやましい限りだ。

数日前に、K.ビューラーの「精神発達」を読んで、その事例の簡潔さに感嘆したが、この本でもいくつかの事例が切れの良さを支えている。とくに、「誰の隣に誰が寝るか」の違いが、家族のあり方を反映しているというところは面白かった。

やっぱり、面白くなければ、「はじめの1歩」にならないのだということを、改めて思い知ったしだいである。

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