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2008/03/29

ひまつぶし!

ときどき、なんて視覚人間なんだろう、とあきれてしまうことがある。たとえば、「ひつまぶし」という文字をみて、「ひまつぶし」と頭のなかでは認識している。

これまでの人生のなかで、ひつまぶしという単語にはお目にかかったことがなかったので、つい脳のなかで省略が起こっていて、条件反射的に、ひまつぶしと思い込んでしまう。

と言えば、名古屋地方に行ったことのある方であれば、察しがつくことである。これまで名古屋に来て、どうも味覚が合わなかった。味噌にしても、たれにしても、すべて濃い。けれども、ついにこの濃い味を克服できる料理にであった。

Aさんが名古屋在住のO先生から、うなぎの美味しい店を聞いておいてくださった。Aさんもご主人の名古屋出張で、知る必要があったらしいのだが。ついでに、お教えくださった。それでご丁寧にカラー印刷の地図をいただいたのだが、雨に濡れてしまって、どうも肝心なところが見えにくくなっていた。それに、「うなぎやさん」としか書いてなくてわからない。

080329_182901 地図とはちょっとちがうが、絶対にここに違いないと思われる店が、大須観音のすぐ隣にあった。「宮田楼」という店だった。のれんをくぐると、なかは小さな店であったが、黒光りしていて、客によって磨かれた木のテーブルが、床が傾いているせいか、こちらの姿勢と一緒に傾いている。それほど、古めかしくて、懐かしい店構えだ。なんと大正元年創業で、大正文化探しのたびに似つかわしいこと、夥しいのだ。

ところが、このみせで、「ひまつぶし、ください」とやってしまった。一見さん丸出しで、店のひともジョークだと思ったせいか、あるいは、間違える人が多いのか(そんなこともないと思うが)、何気なく応対してくださった。 いまでも、思い出し笑いをするくらい、冷や汗ものである。

080329_181101さて、「ひつまぶし」だが、味が濃い分だけ、4っつの味が楽しめるのだという。そのときはわからなかったが、茶碗も出てきたので、最初はそのまま食べて、次に薬味を加えてみて、最後はお茶漬けにしてたべた。やわらかく焼けていて、細かく切られたうなぎを、十分にご馳走になった。だいたい、食べ方はあっていたようだった。

中央のテーブルでは、信州の山から降りてきたようなリュックを背負った若い女性がひとりでビールを飲みながら、新聞を読んでいた。ゆったりしたのか、可愛いしゃっくりが聞こえてきた。週末に、ちょっとした贅沢をひとりで楽しみたい、という人には最適な店だと思う。このような店が、街に一軒あるだけで、街の雰囲気が違ってくるに違いない。

ひつまぶしの濃い味は、十分理由のある美味しい濃さであり、ほんとうに名古屋へ来て良かったなと感じたしだいである。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。