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2008/01/02

初詣

太陽の暖かい日に誘われて、初詣に出かける。バスを待つ間にも、光線が当たるところとそうでないところの温度差がかなりある。ちょっと年寄りじみているが、待つ間にも、乗客は日向を選んで並んでいる。

目的の神社は駅から数分歩いたところにあるのだが、すでにここでは車が行列をなしていて、駐車場待ちで、数十分かかるらしい。徒歩を旨とするわたしは、このような自動車のなかで待つ心境というものを、あまり理解できない。三が日のお参りに自動車で来るような距離の人は、どのような事情があるのかと思ってしまう。

おそらく何人かの方は、身障者を抱えていて、車椅子の人を移動させる必要があるのだろう、と推察できる。境内では、車椅子の老婦人が家族を待っていた。

このためだろうか、近年はボックスカーが増えていて、駐車場でも停めるところに苦労するらしい。整理する警備員が大活躍の「神社」というは、なんとなく自己矛盾の塊のような現象だな、と思われるのだが、何のためのお参りなのかを問いだしたら、それこそ自己矛盾の大塊なので、これ以上追究しないことにする。

近くのK神社には、おととし初めて出かけて、現世的な効能がほんとうにあらたかだった。もっとも、昨年は、それこそ神頼みのことが目白押しだったが、初詣には来なかった。元日早々原稿提出だったのだが、なんとか自力で解決することができた。

ところが、ことしは、あっさりとまた、「現世的な効能」を求めて、やってきたしだいである。わたしの初詣観は、極めて現実的なところにあることがわかった。

K神社の成り立ちをみると、わたしのような現実派が形成してきたことがわかる。かなり古く、今から1200年前ほどに「素盞嗚尊(すさのおのみこと)」が祀られたことにはじまる、とされているが、その後K神社のHPによると、

下総天満宮(しもうさてんまんぐう)・・・・・・菅原道真公(学問・天災除の神)
嵯峨大地主神社(さがおおとこぬしじんじゃ)・・土公神(地震除の神)
天地神集神社(あめつちかみつどえじんじゃ)・・八百萬神
難波塞神社(なんばさいじんじゃ)・・・・・・・疫病除の神
江戸湾金刀比羅宮(えどわんことひらぐう)・・・金刀比羅大神(海上航海安全の神)
三峯神社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三峯大神(盗難除の神)
古峯神社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・日本武尊(勝負事の神)
市神之社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夷  神(商売繁盛の神)
浅間神社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・浅間大神(子育て・子守りの神)

などの現世利益の神々を合併・統合しつつ、今日の繁栄をみているとのことである。とりわけ、八百萬神が祭られているにもかかわらず、各専門の「学問の神」、「商売繁盛の神」など、みんなをひきつける神様方を総動員しているところに「経営」としても苦労してきたあとが見える。

金刀比羅大神(海上航海安全の神)には、ここが海岸に面していたころの名残がある。さて、ことしは腕によりをかけて、お参りをしてきたので、霊験あらたかであることは、これで間違いないところだろう。母が絵馬に願い事を書きたいというので、孫へのメッセージを託し、本殿脇に結んできた。

以前、大阪の住吉神社へ行ったときに、夥しい絵馬が掲げられており、その言葉がたいへん面白かったので、読んで回ったことがある。それに比べると、K神社の絵馬の言葉は、○○大学絶対合格、無病息災、家内安全など、きわめて切実過ぎるほど目の前の願いに限られている。

帰りに、ここへ来る楽しみの一つである、美味しい甘酒をご馳走になった。その後も、参拝者は引きもきらず押し寄せていて、平安な今年の正月を実感した。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。