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2008/01/01

カード・ゲーム

一年の始まりは、快晴だった。けれども、天候とは関係なしに、午後から妹夫婦が来て、いつものようにカード・ゲームに興じる。正月ならではの有意義な時間の始まりだ。

たぶん、カード・ゲームは目的でもないし、過程でもない。だから、みんなが集うのは、カード・ゲームのためではないことは事実だ。けれども、毎年かならず集まると始まることになっていることも事実なのだ。

ならば、楽しみのために、カード・ゲームを行うのだろうか。カードが楽しみというよりは、カード以外の楽しみのためなのだろうと思われる。つまり、部分的には、ある程度当たっていて、カードと一緒に会話を楽しんでいるのだ。

マージャンと比べてみると、カードとの違いは明らかだ。マージャンでも、ゲームと会話を楽しむが、ここには明らかに目的意識があって、そのために集まる場合が多い気がする。けれども、カードは自然発生的にゲームになるのだ。すくなくとも、元旦のゲームはいつもそうだ。

小学校時代だったが、正月のカードには、チリヂリになっていた家族が、そのときだけ集まるという意味があった。いつもはビジネスに忙しくむずかしい顔をしていた祖父も、このときばかりは孫たちに囲まれて、終日カードに付き合ってくれた。わざと負けてくれたことも何度かあった。つまり、勝負が大切なのではなく、みんなが団欒を囲むこと、そのことが重要だったのだ。

先日読んだ本のなかで、カード・ゲームについて興味深いことが書かれていた。米国社会では、友人が集まってカードに興じる習慣があった。それは1960年代まで上がり調子で盛んになって、70年代以降になって減少していくのだ。これは、きままなゲームの話なので、それに社会的な傾向があるとは言いがたいのだが、ここにはおそらくその本の著者パットナムが主張するように、近年になって、友人間を結ぶネットワークが衰退してきたという兆候を見ることができるだろう。

習慣の違いはあるかもしれないが、なんとなくこの衰退の兆候は理解できる気がする。我が家のこの好ましい習慣も、もし崩れたら、何かがおかしくなっていることをあらわすような気がするし、これが続く限りは、平穏な正月が続くような気がする。

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コメント

 あけましておめでとうございます。
坂井ゼミにてお世話になった伊喜です。ごぶさたしております。ご機嫌いかがでしょうか。

 ところで私は今、行動ファイナンス理論について関心を持っています。といっても新書版の本をパラパラとめくっている程度なのですが、しかし、ヴェブレンの思考習慣という考え方に通底しているように思えるのです。
 シュレイファーという学者の提起した問いの一つである「市場で失敗した投資家が将来も市場に参加する意欲を持つための帰結とは何か」
 については、答えられるのではないかとなんとなく思っています。
 というわけで、私も将来また坂井ゼミにお邪魔するやもしれません。そのときはよろしくお願いいたします。
 
 それでは今年も良い年になりますようお祈りしております。

伊喜様

コメントありがとうございます。久しぶりですね。

「市場で失敗した投資家が将来も市場に参加する意欲を持つための帰結とは何か」

への回答は、文脈からすると、インセンティブ論のアプローチと、制度論のアプローチとふたつ考えられると思います。

伊喜さんのことですから、制度論的接近を行ってみたいという事でしょうか。

近くへいらっしゃったときにでも、研究室へお寄りください。    坂井

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。