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2008/01/25

研究会と雰囲気

研究会で何が大事か、と問われるならば、「緊張感を持った雰囲気」と答えたい。

朝、大阪心斎橋のホテルを出て、中之島にあるO大学のセンターへ行く。J研究会は、今年度3回目で最後である。これまでの成果を発表して、3月の論文提出の準備を確認する時期だ。

一年間の積み重ねが、ようやく全体像となって現れる場なので、たいへん充実した会となった。

研究会で重要なのは、もちろん発表内容ではあるのだが、むしろそれだけであるならば、メールのやり取りや、電話の交信に頼ればよいことになってしまう。むしろ、対面しながら議論するのは、そこで内容以上の効果を期待するからである。

以前、議論における集合効果の存在することを指摘し、経済学の「外部性」(本来の取引以外の取引)として考えた。それでも、もちろん良いが、もうすこし範囲の狭い言葉はないだろうか、と探していた。

近年、これらの効果を及ぼすものを、紋切り型のように、「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」と呼んでしまっていたが、どうも議論のような場合には、しっくり来ない。ソーシャル・キャピタルだと、やはりコミュニティ規模以上のものに当てはまるような気がする。大きなネットワークの場合に、似合っている。

それでは、もっと小さなネットワークで、効果以上の効果を及ぼすものをどのように呼んだらよいだろうか。経済学のシカゴ学派の人びとは、外部性という中立的な言葉を使うことを極力避けていたが、その理由もやはり小さなネットワークにこだわっていたからではないかと思われる。かれらは、あきらかに「隣人効果」ということを強調していた。

隣近所で起こるような効果であるが、このような合理的な匂いを払拭して、曖昧な非合理な傾向を強調するには、なんといっても「雰囲気」という言葉が似合っている。

きょうも、時には激しく、時には緩やかに、その場の雰囲気が揺れて、議論を活性化していた。けれども、このように包み込んでくるような緊張感がなければ、おそらく8時間もかかって議論する必然性が生まれないだろう。

そのあと、みんな懇親会に出席して、雑談を楽しみ緊張感をほぐしていた。このような緩急をつけて、なおかつ成果を出すような研究会はきわめて稀ではないかと思われる。H先生の雰囲気と、研究会の雰囲気がうまくマッチしていると思った。080125_182401

帰りに、歩いて淀屋橋へ出て、大阪の日銀支店前を通り、地下鉄御堂筋線から、新幹線へ乗り継いだ。家に付いたのは、11時を回っていた。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。