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2007/12/03

奨励賞

このところ、娘が盛んに小さなメモを書いているので聞くと、これを大学生協へ持っていき、10枚提出すると、500円貰えるのだと言う。一冊読んで、感想文を提出する。「読書マラソン」といって、大学生協書籍部の呼び物なのだそうだ。

それはいいな。けれども、考えてみれば、1枚の感想文を書くためには、必ず一冊の本を読まなければならないから、結構、それなりに生産性は低い作業であり、お金のためだったら、その時間分だけアルバイトに出たほうが、よほど生産的ではないかと思わないではなかった。けれども、時間がたっぷりある大学生には勉強にもなるし、素敵な作業ではないかとも思った。

お金の問題だけではないだろう、と見ていたら、案の定新聞に名前が出た、と言って、自慢している。なんだ、やっぱりそうか。どれどれ。金賞でもないし、銀賞でもないし、さらに銅賞にもないな。なるほど、奨励賞か、この次に期待するということだな。

応募総数が7271通というのは、すごい。10通で500円ならば、35万円ほどの補助金を投入しているのか。でも、それで7271冊の本が読まれるのならば、わずかな金額でプロモーションの効果があったというべきであろう。やはり、大学生協ならではの企画だろうと思う。

できることなら、放送大学でも、このような企画を出していただきたいところである。機関紙に投稿すると、ポイントがついて、放送大学の教科書が無料になる、などはどうだろうか。

けれど、奨励賞であっても、わが娘としてはよくやったと思う。昔、大学院生時代にアルバイトで、わたしはこのような賞の選考を手伝ったことがある。審査委員の先生方が選ぶ前に、あらかじめ候補をそろえておく作業である。これが結構楽しいのだ。それなりに基準を定めて、いくつかに絞っていく。最後は、かなり客観的に、だれが選んでも同じになるだろうという境地に達するから、面白い。

さらに、戴くほうにとってもたとえ奨励賞であっても、それなりに嬉しいものである。もう一度、機会があったら書いてみようかという気に必ずなるから不思議だ。わたしの場合は、小学校時代に絵画を描いて、賞をいただいた。そのあと、二、三度同じようなことが続いた。やはり、そうして動機付けられていくのだと思う。一度たまたま、金賞をいただくよりも、何度か奨励賞をもらったほうがうれしい。

この意味で奨励賞というのは、なかなか良い賞だと思う。残念ながら、放送大学には生協はないのだが、わたしもいくつかの大学で教えているので、他大学の生協書籍にはいつもお世話になっている。毎年、数十万円の書籍は購入しているので、ちらっと頭のなかを邪悪な考えがよぎった。

この際だから、娘には、ぜひがんばってもらって、卒業までにあと90通は書いてもらおうと思っている。親ばかも、この程度まで到達すれば、許されるかもしれない。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。