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2007/12/23

行事の微熱

なにか大事な行事があると、かならず微熱が出る。そしてむしろ、すこし熱があったほうが身が入るという悪い癖がある。

きのう辺りから、鼻がむずむずしてきて、きょうはきょうで喉にまでそれが降りてきている。明後日からは、甲府へ集中講義で出かけなければならない。

それで、このような癖が出るようになったのは何時なのか、と考えてみた。思い当たるのは、松本に住んでいた幼稚園時代だ。家からひとりで外へ出るようになって、行事ということが押し寄せてきた。

その幼稚園は、小さなときから何でもやらせると、いろいろなことの開眼が速くなる、という早期教育を旨としていた。そう聞くと、今日のお受験の権化のように聞こえてしまうが、そうではなく、幼稚園の先生方もみんなやさしく、知らず知らずのうちに惹きこまれたように思う。

たとえば、一茶の俳句を300句覚えさせられた。毎朝、誰かが当てられて、暗記をテストされたが、みんな進んで覚えて苦痛だった記憶がない。それから、楽器をひとつ覚えさせられた。これも最初は楽しかった。そして、その成果はクリスマス会などで発表させられた。先日書いたように、絵画も盛んに行われた。

こう思い出してみると、幼稚園時代にはやはり行事が目白押しだったのだ。それで、微熱が出るほど、一生懸命になったのだ。

微熱は、時として、気持ちが良かった。ふとんに入って、熱っぽい身体を丸めて、冬の朝寝坊する。行事の緊張感と、微熱の夢とは好対照であったが、変なバランスが取れていたような気がする。

先生も、微熱が出て、鼻血が滲んでいる子に無理強いはできなかっただろう。だから、微熱は一生懸命のときには、他の子と一緒になる印であったが、ひとたびダウンしてしまうと、やはり他の子から離れる感覚をあらわしていた。すこし距離感があったほうが、むしろ行事を冷静に観る事ができた。

明日は、微熱と対話をして、行事のまえの一日を静かに過ごすことにした。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。