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2007/11/15

映画「ビーナス」と文豪「漱石」展

きょうは夕方からの仕事だったので、午前中を利用して、文豪「夏目漱石」展を娘と一緒に、江戸東京博物館へ観にいく。

漱石は、細かいところまで気にするタイプで、それが小説へよい影響を与えていた。たとえば、小さいときの水疱瘡の痘痕が、かなり気になっていたらしく、『我輩は猫である』の主人の描写に利用していたりする。

それから、英国で神経症に陥ったのも、おそらく英国におけるあらゆることが気になって仕方がなかったからだと思われる。それは、かれが英国留学時代に購入した書物をみれば想像がつく。

留学時代に購入した書物は、339冊だそうで、これは洋書の蔵書が1707冊あるなかで、約6分の1を占める。当時流行のカーライルや、チェスタートンは購入している。それに当時すでに、古典とみなされていたであろう、ピープス氏の日記やジョンソン博士の書物も入っているし、当然ロビンソン・クルーソーやガリバー旅行記などのものが入った文学全集も仕入れている。さらに、文芸作品を離れて、カール・マルクスやウィリアム・モリスなども手に入れていた。今回、その収集品が一堂のもとに展示されていて、まさに圧巻だった。

これらは、東北大学図書館へ行けば、当然観る事ができるのだが、一望できるというのが良かった。漱石の蔵書目録は、自筆ノートで残っていて、以下のところで見ることができる。
http://www2.library.tohoku.ac.jp/soseki/images/img26-16.pdf

これらの書物を観ていると、日本の近代の見方が変わって来るのを感ずる。近代が外国から押し寄せたように、ずっと思ってきたが、そうではないことがわかる。むしろ、夏目などが率先して、これらの書物とともに、近代を持ち込んできたのだ。つまり、持ち込まれた西洋が、日本人によって読まれ、取り入れられる過程を通じて、日本人の長期的な趣味が形成されてきたのだといえる。

そういえば、漱石の本の装丁には、よく草花が使われていて、どことなくウィリアム・モリス風の雰囲気を感じないでもない。影響を相当うけているのではないか。おそらくどなたかは、すでに指摘しているとは思うが・・・。

さて、娘と別れたあとは、まだ時間が十分あったので、Aさんご推奨の映画「ビーナス」を日比谷で観る。ピーター・オトゥールの顔と目が相変わらず印象的であった。いたずらっぽい目がそのままで、顔の皺は増えても、目だけは齢を感じさせない。

この目があるために、主人公の演じる快楽主義的な、そして人生の行き着くところのモデルとして、最適だったのだろう。それにしても、最後に生活するところとしては申し分ない。毎日おしゃべりする友人がいて、元妻がいて、住むところがあって、どうみても年金には恵まれてはいないが、仕事も適度に存在する。そんな生活をしてみたいものだ。

大衆社会にあっては、ほとんどの人は、病院で最後息を引き取る。もし病院以外のところで臨終を迎えるのであれば、どのように振舞うべきなのだろうか。かなり、切実な問題である。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。