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2007/11/23

ダブリンと横浜

映画「Onceダブリンの街角で」を観る。家を11時25分に出て、12時にはチネチッタへ着いていた。横浜の片隅から川崎駅のすこし離れたところまででは、驚異的な速さだ。もっとも、時間を間違えていて、間に合わないと思い、走ったのだが・・・。

映画は最初のシーンが肝心なので、途中からは観ないようにしている。それでこの強行軍になってしまったのだが、結局映画は12時半からで、コーヒーを買いに外へ出る余裕までできてしまった。

前半は、メロドラマ寸前だったよね。後半は締まってきたけれど・・・、というのが娘の批評であった。たしかに、そんな感じであった。歌の部分を抜かしたら、この評は当たっている。

全編にわたって、ドラマというより、ドキュメンタリー風に作ってあり、トラディショナルから派生したフォーク調ロックという言い方が許されるならば、それを唄う歌手が主人公であり、たまたま街で知り合ったチェコ人の女性と歌を作り、そしてデモCDを作るまでを描いている。

けれども、たとえ歌であろうと、何かに夢中になり、一生懸命それを作るというのは、歌それ自体の力もあったが、感動的であった。そして、ダブリンでなら、それも可能かもしれないと思わせる何か特別な雰囲気がある。

わたしはまだダブリンへは行ったことがないのだが、ダブリンと聞いただけで、ロンドンとは違った異国性を感じてしまう。都市であるにもかかわらず、鄙びていて、19世紀の面影を残して街が黒ずんでいて、人びとが伸び伸びとしている様子が描かれている。

それでも、やっぱりロンドンへ出て行って、一旗挙げるのが、ダブリンの実状なのはもの悲しい。男性の主人公にそれを演じさせ、チェコから出てきた女性の主人公に居心地の良いダブリンに残らせている。

娘と別れて、横浜の開港資料館で開かれている「100年前のビジネス雑誌『実業の横浜』」展を観る。雑誌の展覧会というのは珍しい。『日本』のようなグラフィク誌なら、見せるべき鮮明な写真が掲載されているので、展覧会向きである。

ところが、写真中心の雑誌でない場合には、記事内容を逐次紹介しなければならない。それは、たいへんな作業を伴うだろう。何千何万もある記事を集約しなければならないのだ。

選ばれたトピックのなかでも、とくに興味を惹いたのは、英国商「ドットウェル商会」の写真であった。外国商館のなかでも、早くから電話が設置されている商館で、先日のコーヒー論の資料『横浜貿易捷径』にも載っていた。大きな立派な建物だ。

これに関しては、カール・ローデ商会のポスターも展示されていて、論文に使えそうだった。また、1913年には、神奈川学習センターのある弘明寺のつぎの駅である蒔田で、「勧業共進会」という大正博覧会が開かれており、そのときの『実業の横浜』記念号が発行されており、内容を見てみたいと思った。けれども、展示ではままならないので、このつぎ閲覧してみようと思った。

残念なことに、外国商館の多くは、1923年の関東大震災のときに崩れてしまったらしい。そういえば、今朝の新聞の横浜版に、中区の山下町で居留地の外国商館跡が発掘され、公開されるという記事が載っていた。54番館と55番館だから、50番館だった上記のドットウェル商会にかなり近いところだ。偶然だな。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。