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2007/09/29

なにが人の職業をあらわすか

電車に乗っていて、あの人の職業はなんだろう、とよく考える。多くのひとは、サラリーマンなので背広の下にある顔はなかなかわからない。

その点、サラリーマンでない人の場合には、よくわかる。制服を着ていたり、仕事着そのままで帰宅したり、仕事の道具を持っていたりする。左官屋さん、ペンキ屋さん、警察官、鉄道員などが、その恰好で電車に乗って来るときがある。

けれども、ふつう現業の人びとは、おおかたが自動車なので、電車には少ない。それ以外の人びとを想像で判断するのは至難の業だ。だからこそ、楽しみもある。とりわけ、わからないのは、女性の職業である。といっても、いつも女性を凝視しているわけでない、と言い訳をしておこう。

ところが、先日学習センターで、試験監督を行っていて、妙に納得したことがあった。これは同僚の先生方とも意見が一致したので、かなり濃厚な傾向であると思われる。

その女性たちは、まず試験の出席率が抜群である。一教室40人から50人で、1人欠席があるかないかという集団的特性を示す。つまり、まじめなのだ。もっとも、他の大学生がまじめでないというわけではなく、ある種特有のまじめさを集団として持っているということなのだ。

一、言うと、二を知る、という感じである。テストの答えかたも、その集団だけはかなり要領がよいし、応対にもそつがない。

たとえば、答案を出すときに、必ずこちらが整理している方向に試験紙を直して、受け取りやすくしてから提出する。以前にも書いたが、机の上の消しくずは最後に手にとって、ごみバケツに捨ててから、部屋を出て行く、という具合なのだ。清潔さが身についている。

そして、何よりも、受け応えがドライなのが、最大の特徴といえる。間違ったことをしても、すっと直すのは速いが、それ以上あまり無駄な動きはしない。受け応えに、必要以上の笑顔をすることがない。商店主や会社員のような媚びるような笑いは、決してしない、などなど。

さて、集団としての彼女たちの職業は、それでは何でしょうか。白い制服がヒントだ。ひとりひとりを見ていても、必ずしもわからない。けれども、集団として、一人ひとりの共通点を見つけていくと、彼女たちの職業意識に到達することになるのだ。

二日間ずっと試験監督を行っていると、この共通性はほんとうに良くわかるのだ。いつもは試験の始まる前、緊張を和らげるために無駄口を叩くのだが、今回はあまりのまじめさに圧倒されて、つい冗談を言う気にはならなかった。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。