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2007/09/05

取材の困難さ

022 情報公開の流れが主流の世の中でも、やはり企業内の情報は、原則として非公開のものが多い。情報は、私有財産だという認識がまだ強い。

神戸までせっかく来たのだから、というので、すこし足を伸ばして、気になっていた取材を行った。今度の講演会の題材の一部で、横浜の貿易がなぜ一時期に増大したのかが気になっていた。神戸との比較も面白いと思い、今回すこし迂遠なことではあったが、倉庫群を探索することにした。

とくに、今回は有名なM倉庫と、その近くにあるコーヒーのU社の倉庫を見たいと考えていた。先日、横浜から電話をしてみたのだが、やはり倉庫会社側の反応には取り付く島がない。

しかたないので、外見だけでも港や倉庫の雰囲気を写真に収めたいと、出かけることにした。ところが、現地に着いてからも、情報の流れは変わらなかった。しかるべくところに連絡しておくべきであった。情報は権力の方向に向かって流れるのであって、決して横には伝わらない。

011 倉庫の内部については、ほかに方法を見つけることにして、許されている外見と環境だけで、今回は諦めることにした。けれども、どのようにして貿易品が港に上げられるのか、そして倉庫に収められるのか、さらに検査され出荷され工場に搬入されるのかが、想像できるようになっただけでも良しとしたい。

帰りの駅のそばに、神戸市立小磯良平美術館があり、灼熱の港にあって、住宅街へ通ずるオアシスとして人びとを誘っていた。ちょうど、倉庫群とマンション群を隔てる役割を持っている。

020 乗換えが多いので、あまり交通の便がよくないとは思われるが、それにもめげず、中年から老年の方がたが、ひとりふたりと美術館内へ入っていく。

小磯良平の絵については、それほど多くを見てきたわけではないが、書籍の挿絵として、目にしていたものが多かった。けれども、先日の信州松本での「絶筆」展で、さりげない住宅を描いたものがたいへん良かったので、この系譜を観ておきたかった。

やはり、今日の一枚、というような見方ではなく、この画家の場合には、全体のなかで一枚一枚が意味を持ってくるのだ。

それは、自分自身のことをよく知った画家であったということだろう。素描が良いことに、それは現れている。ある時期、自分の特色を出せるのは素描であると気づき、それをとことん追究したのではないかと思わせるところがあるのだ。次第に、その特色に気づいたことで、さらに自分自身が確立するようになった、と思われる画風なのだ。

おそらく、その境地に達するまでには、気の遠くなるようなたくさんの絵を描かなければならなかったことは、想像に難くない。美術館の喫茶店で、一杯ご馳走になって、後にした。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。