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2007/09/22

JICAについて

JICA(国際協力機構)のシニア・ボランティア説明会が神奈川学習センターで開かれた。タイで協力活動を行った科目履修生のSさんが仲介して、趣旨に賛成した学習センターが説明会に協賛することになったのだ。

説明のビデオを見ていて、カンボジアの幼児教育に加わったボランティアの方が、やはりJICAの協力隊員として教育行政に携わっている方と、話し合いながら仕事をなさっているのを観て、感ずるものがあった。

いまから20数年ほど前に、わたしは放送大学の教員になることは決まっていたが、開学まで3年ほど、就職を待たされた時期があった。若い教員の多くが同様に待たされた。みんな留学したり会社に勤めたりさまざまな対応を行っていたようだ。わたしは、情報数理研究所というところで、アルバイトを行っていて、ちょうどJICAの海外調査プロジェクトに加わることになったのだ。

いまから思えば、冒険的で貴重な体験だった。トンガ王国の財務省に一室を設けてもらい、王国の情報機器事情を調査した。

思い出したのは、そのときお雇い外国人的な人びとが何人かいて、それらの人びとが、ODAを超えた影響をこの国の行政や産業に与えていたことである。たとえば米国のPeace Force(平和部隊)の女性は、開発銀行のトップに近い地位にいて、経営にかなりの発言権を持っているようであった。それから、オーストラリア人は農業公社のようなところで支配人を務めていたし、さらにかなり若い人だったが、財務省のアドバイザーには、ニュージーランド人が入っていて、金融政策に影響力を持っていた。もちろん、電力公社にも英国系の外国人がいた。

そのとき感じたことは、ODAというのは、今で言うソーシャル・キャピタルに参加することだな、ということであった。彼らには、確実にネットワークが存在していて、わたしたちが今日何を行っているのかが、横の連絡ですべてわかっていたことである。そして、助かったのは、何をすべきでないか(つまり、無駄な調査)を教えてくれたことである。

じつは、コンピュータの援助は、日本以外にも米国からも来る予定だったらしい。トンガの人びとは、それを隠していて、なかなか言ってくれないのだ。そこで、日本のコンピュータをどこの機関が受け入れるのか、これを聞き出すのに苦労していたのだ。

さきほどのカンボジアのように、教育行政の上層部に食い込んで、現地のやり方を教えてもらえると、現場では幼児教育を行う方がきわめて有効な行動をとることができたに違いないだろう。ソーシャル・キャピタルのネットワークに通じるか通じないかで、ODAの成否が決定されるとみてよいだろう。

この点で、トンガでの当時の経験では、現地人のトップ層はきわめて閉鎖的で、自国人の利害を最優先に図っていた記憶がある。そこには、確実に旧来からのソーシャル・キャピタルが存在し、古いネットワークと新しいネットワークとの闘争が始まっていたような気がする。

ボランティアでも、おそらく外国では、ここまで要求されるだろう。今日の体験者たちのなかには、あまり気張ってやると失敗する、とおっしゃっていたが、それはソーシャル・キャピタルのネットワークに入れなかった方の言うことではないだろうか。海外活動の緊張感と、それを達成したときの充実感は、20年前からそれほど変わっていないと思った。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。